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盆栽鑑賞がもっと楽しくなる!知っておきたい5つのポイント

盆栽の鑑賞方法を知ると、盆栽の奥深さがより一層わかります。
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/8/25
  • 投稿日:2022/8/25
  1. 盆栽について
  2. 知識
  3. 鑑賞
盆栽鑑賞がもっと楽しくなる!知っておきたい5つのポイント 盆栽は個々の感性で自由に楽しめるものですが、鑑賞のポイントを知ることで、その喜びはさらに大きくなります。知識を深め観察眼を養えば、自然の縮景である盆栽に込められたストーリーを読み取ることができ、盆栽への興味もいっそう広がっていくことでしょう。

目次

  • 盆栽を鑑賞する際に
  • 1.盆栽の表と裏について
    2.表(正面)の決め方
  • 盆栽の鑑賞の仕方
  • 鑑賞のはじめに
  • 鑑賞ポイント
  • 樹種ごとの鑑賞について

盆栽を鑑賞する際に

盆栽の表と裏について

近年、盆栽はさまざまな角度から眺められるよう飾られることが増え、表と裏の区別が曖昧になってきています。

かつては床の間に掛け軸とともに飾られ、一方向から鑑賞されることが多く、表と裏がはっきり区別されていました。床の間では座って鑑賞するのが基本で、目の高さに合わせて卓や台座を使い、根張りから立ち上がりの部分が目線に来るよう飾られていました。樹高にもある程度の制限があったとされています。

生け花において花材の向きや花・枝葉の表裏があるように、盆栽においても樹の表と裏があります。
屋外で植物を四方から眺めると、最も美しく見える向きがあります。花見の桜でも、花や枝ぶりが特に美しく人が集まる箇所があるように、盆栽においても最も美しく見える面を表、その反対を裏としています。

では、盆栽において「美しく見える」とはどういうことでしょうか。表は根張りや立ち上がりの形がよく見える方とします。幹の模様・幹肌・枝振り・幹や枝の芯などがよく見えるよう、幹と枝、枝と枝の調和など、その盆栽の美点が最大限に発揮されるように植えられています。表から最も映えるよう管理されていますが、裏側にも多くの枝を配し、奥行きを持たせる工夫がなされています。

【表(正面)の決め方】

盆栽を鉢に植える前に、まず正面を決めます。これは盆栽にとって非常に重要な一歩であり、その盆栽の印象を左右するほどです。表は最初からはっきりしていることもあれば、成長とともに樹形が変化し、剪定や植え替えを重ねるうちに変わることもあります。最も美しく見える位置を常に意識していく必要があります。 

盆栽は「自然の景色を鉢の上に凝縮する」という考え方に基づき、平面的でなく空間的な表現が求められます。表から見たとき、多くの場合は前方を広く見せるようにします。これは根張りをよく見せるだけでなく、石や苔などによって自然の奥行きを感じさせるためでもあります。

根が手前に露出していることで、さらに重厚感が増します。また、真ん中ではなくわずかに左右どちらかに寄せて植えることで、空間の広がりを感じさせることも大切です。幹の曲がりは全体的にやや前方に傾いている方を表とし、反った方を裏とします。手前に傾けることで、樹が大きく覆いかぶさるような印象を与え、盆栽の存在感を強調します。

ただし、一度正面と決めた面が永遠に正面とは限りません。植え替えのたびに最もよい面を考慮し、向きや傾斜を見直していきます。
表と裏を見極めることで、その樹の魅力がいっそう引き立ちます。苔や草を植える場合も、正面からの「見え方」を意識して植えると、全体の体裁がより整います。

盆栽の鑑賞の仕方

盆栽の表と裏がわかったところで、鑑賞の仕方について見ていきましょう。

盆栽とは、鉢の上の一本の木の姿から自然の景色を連想させるものです。よい盆栽とは、人工的・作為的な部分を感じさせず、自ずと自然の風情へといざなうようなものです。

とはいえ、自然のもつ要素すべてを鉢の中に表現することは容易ではありません。山野や森、樹々のエッセンスを象徴的に表すことで、観る人にそれらを連想させる様式をとります。その際、大きく分けて「樹形美」「古色」「風格」の3つのポイントが重要できる内容です。
漫然と眺めるのではなく、盆栽の約束事を踏まえて鑑賞することで、盆栽の奥深さがより感じられるでしょう。

鑑賞のはじめに

盆栽を鑑賞する際は、まず近くでじっくり観察してから、少し離れて全体を眺めるようにしてください。

盆栽鑑賞の第一歩は、樹の形が最もよく見える表(正面)から見ることです。展覧会などでは正面から鑑賞できるよう設置されていますが、販売品では不明な場合もありますので、ぜひ表を見つけてみてください。

また、目線を盆器の高さに合わせ、やや見上げるように眺めるのが盆栽を美しく見るコツです。上から見るのは推奨されておらず、同じ目線で見るのもおすすめです。そうすることで、鉢の上の樹が大木のように感じられたり、自然の情景が迫ってくるように感じられたりと、盆栽の醍醐味をより深く味わえます。

樹形美
樹木はその高さ(樹高)により高木・亜高木・低木に区分され、種類ごとに固有の樹形があります。樹種の特性と育った環境によって、その樹ならではの樹形が生まれます。育った環境とは、風の強い海岸線であったり、なだらかな平野であったりするでしょう。一つの樹形を見たとき、樹種の味わいとその樹のある風景が連想されるようなものであるべきです。

古色(こしょく)
樹が美しい形をしていることは鑑賞の際まず目を引きます。加えて、たくましい生命力や年輪のようなものを感じるとき、美しさと生命の神秘を覚えるのではないでしょうか。樹に古さが出てこそ、風格や品位が感じられます。樹齢に関わらず古さを感じさせる木を「古色がある」と言い、若い樹でも古色のある盆栽は味わい深く好まれます。

風格
「長い年月をかけて磨かれた存在には、自ずから風格が漂う」という言葉があります。人も樹木も同じで、単に年月を経るだけでなく、手をかけ長い風雪を生き抜いたものには、おのずと風格が宿るものです。

盆栽の見方

盆栽の見どころがわかってくると、よい盆栽とはどういうものかが自然と見えてきます。もちろん見る人の好みや感性によるところもありますが、見どころを知っているかどうかで、盆栽の妙味は大きく変わります。

根張り
土の表面から外に出ている根元の状態で、盆栽の土台となる非常に重要な部分です。

立ち上がり
根元から最初の枝(一の枝)までの部分で、幹が最もよく見える箇所。根張りの力強さを受けて幹へと移る部分です。

幹肌
幹の表面・皮のこと。盆栽の重要な要素として古さや時代感が挙げられますが、それを表すのが幹肌です。

幹模様
幹の曲がり方や太さの変化のこと。幹が下から上にかけて細くなっていく様子を「コケ順」と呼びます。

枝配り
どこにどのような枝が出ているかという枝の配置。幹から生える枝と枝の間隔やバランスへの配慮のことです。

樹冠
全体の中心部で、葉や枝が茂っている部分をいくつかのブロックに分けた場合の最上部を指します。

樹芯
樹の先端部分で幹の頂点・樹冠の頂部のこと。「頭」「芯」とも呼ばれ、樹形を作る際の樹格を左右します。

葉性
葉の色・大小・形態・出方など、葉のもつ性質のこと。葉性は改善が難しく、樹を選ぶ際に注意が必要です。

鉢合わせ
植物と鉢をうまく組み合わせること。樹種や樹形によって鉢の形・大きさ・色などのバランスが重要です。

ジン(神)・シャリ(舎利)
幹や枝が枯れて朽ち、そのままの形を残しつつ白骨化したものを指し、枝先のものをジン、幹の一部が枯れたものをシャリといいます。松柏類に多く、特に真柏や杜松では見どころの一つとされます。このジン・シャリの表情によって評価が大きく変わることもあります。

鑑賞ポイント

鑑賞の際はまず鉢の形や木の姿勢から正面を見極め、全体を見て樹形を把握し、盆栽の下からのぞき込むようにして、
以下の
根張り→立ち上がり→幹肌→幹模様→枝配り→葉性→樹冠→鉢合わせ→飾り台
の順に見ていくとよいでしょう。
特に根張りを第一、立ち上がりを第二と言われるほど、この二点は重要です。。

樹種ごとの鑑賞について

松柏盆栽
松・杉・檜などの樹々は日本の風土に深く根づいており、日本の景観に欠かせない存在です。年間を通じて緑を湛える松柏類は、力強さや神秘性、自然の荘厳さを強く感じさせます。この風趣を鉢の上に表したものが松柏盆栽であり、盆栽の中でも特に格調高い存在といえます。松柏類は独特の気品を備え、一年中いつでも鑑賞できます。

松柏盆栽の鑑賞ポイント
根張り 自然の松柏類のようにしっかりと根を張っているかどうか
幹 立ち上がりが自然かどうか、不自然に細くなっていないか。
幹肌 古びた味わいがあるかどうか。幹肌の荒れ方、荒皮性(若い樹でも幹肌が早く荒れて古さが出る性質)、亀甲性(縦割れの古びた幹になっている状態)、岩石性(樹皮が固い岩石状になるもの)は特にその風趣に注目する。
ジン・シャリ 自然さと豪胆さを見る。枯れたものと生きているものの共存、生死一体感に留意する。
枝 根元から一の枝・二の枝・三の枝と続く枝順と、その太さや長さなどのバランスを見る。
葉 十分に細かく仕上がっているかどうか
鉢 色・形などが樹とよく調和しているかどうか。

雑木(葉物)盆栽
春に芽吹いた葉がすくすくと育ち、夏に新緑から深い緑へと色を深め、秋に赤や黄色へと色づき、冬に葉が落ちるという、樹全体で静かな侘び寂びを表します。毎年、季節の移り変わりとともにさまざまな姿を見せてくれます。四季による彩り豊かな変化を楽しむことが、雑木盆栽鑑賞のコツといえます。

花物盆栽
花の美しさを主な鑑賞の対象とします。花を楽しめる期間は短く、だからこそ、葉が枯れた後に芽吹き、年に一度美しい花を咲かせる姿に、自然の摂理をより深く感じることができます。花物でも樹形や根張りは大切であり、花の美しさを引き立てる鉢選びも鑑賞のポイントです。

実物盆栽
実がなっている時期が最高の鑑賞期間となります。山野には多くの実なる樹があり、木の実のある光景は日本の郷愁をそそります。実も花と同様に、樹種や品種によって大小さまざまで、色とりどり、香りのあるものもあります。実の色や形の美しさと、実と樹のバランス・根張り・鉢映りなどを意識して鑑賞するとよいでしょう。

※花物類・実物類のその他の鑑賞について
花や実がつく花物類・実物類の鑑賞について、補足してまとめておきましょう。
花が美しい、実がかわいいと眺めるだけなら、園芸や鉢植えで十分です。盆栽とは植物の美しさだけでなく、自然の風景や趣を感じさせるものです。花物類・実物類の見どころとして、以下の点にも注意が必要です。

1.花や実が小さいこと
花や実が大きくなりすぎると、それ自体が際立ってしまい、自然の風景や趣を凝縮するという縮景の考え方から遠ざかってしまいます。

2.花や実が多すぎないこと
花や実が目立つのは、緑や茶色をベースにした幹・枝葉と対照的な色や形をしているからです。花や実が多すぎると、それらを引き立てる緑や茶色が失われ、彩りが前面に出て焦点がぼやけてしまいます。花や実が小さいことは、根本的に木を大きく見せる効果があります。

草物盆栽
山や野原で出会った山野草の風景を手軽に再現できるのが草物盆栽の魅力です。小さなスペースで眺めて楽しめる手軽さも人気の理由です。新芽が出たり、花が咲いたり、紅葉が始まったりと、それぞれの山野草が四季を通じてさまざまな姿を見せてくれるので、季節に応じた鑑賞が楽しめます。

→盆栽の樹種については盆栽の種類ページをご覧ください。

盆栽の全体像を把握してから細部へと目を向けると、多くの要素が緊密に関連し合いながら全体を形作っていることがわかり、感動さえ覚えます。

ここでは鑑賞のポイントや順番を列記しましたが、樹種・大きさ・樹齢によって一概には言えない部分もあります。

春夏秋冬、四季折々の展覧会や美術館、専門店などに足を運んで良品・逸品・名品をたくさん鑑賞することで、鑑賞眼を養ってみてください。盆栽づくりの参考にもなり、感性も磨かれることでしょう。

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