盆栽の正しい飾り方・演出のコツ
- 盆栽の飾り方にはいくつかのルールがあります。基本的な飾り方から最近の傾向まで、しっかり学びましょう
- Wick Canvas 編集部
- 更新日:2022/8/25
- 投稿日:2022/8/25
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盆栽の飾り方にはいくつかのルールがあることをご存知ですか?何気なく飾られているように見える盆栽にも、実は深い意味があります。どのように飾ればよいのかを理解すると、盆栽の展示会がより楽しいイベントになります。基本的な飾り方から最近の傾向まで、しっかり学んでいきましょう。
目次
- 盆栽の飾り方
-
- 家庭における盆栽の飾り方
- 1.盆栽を室内に置ける期間
- 2.盆栽を飾る時期
- 3.室内に飾る際の樹種別の注意点
-
- 屋内での飾り方
- 和室
-
- 伝統的な飾り方
- 床飾り
- 床の間がない場合の飾り方
- 棚飾り
- 三点飾り
- 五点飾り
- 七点飾り
- 丸卓の飾り方
- 洋間での飾り方
-
- 玄関での飾り方
- 飾る際の注意点
-
- 飾るための道具
- 卓
- 飾り棚
- 添配
- 水石
-
- 展示会・展覧会場での飾り方
- 一席飾り
- 一品飾り
- 陳列の際に
- 屋外での陳列
盆栽の飾り方
盆栽は育て、仕立て、日々手入れすること自体も大きな喜びですが、丹精込めた盆栽を飾り、じっくりと鑑賞することも、また格別の楽しみの一つです。
自宅の室内やイベント会場、店舗などに盆栽を飾ると、そこだけに自然の風景が宿ったような、独特の趣が生まれます。
大切に育てた盆栽だからこそ、できる限り美しく飾りたいものです。飾り方の基本を身につければ、盆栽と空間が調和し、互いの魅力が引き立ちます。ご家庭では比較的自由なスタイルで楽しめますが、展覧会場や美術館などでは、また異なる作法が求められます。
細かいルールに縛られすぎるのも窮屈ですが、飾り方のスタイルや道具、配置、空間の取り方を知っておくと、自由に飾る際の確かな基礎となります。個性と工夫を活かしながら、美しく飾りましょう。
ぜひ念頭に置いていただきたいのは、盆栽とは鉢の上に自然の樹木や周囲の景観までをも凝縮した、自然の縮景であるということです。それゆえ、根から幹へと続く立ち上がりを活かした飾り方を意識するようにしましょう。
家庭における盆栽の飾り方
お祝い事や来客の際に盆栽を飾ると、空間が引き締まり、部屋の雰囲気が一変します。床の間に飾るのが伝統的ですが、近年は床の間のないお宅も多いかと思います。堅苦しく考えず、ご自身のライフスタイルに合わせて、部屋のさまざまな場所に盆栽を飾ってみましょう。
盆栽を室内に置ける期間
盆栽は日当たりと風通しのよい屋外で育てるのが基本ですが、丹精込めた盆栽をやはり室内に飾って鑑賞したくなることもあるでしょう。
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日当たりや風通しが十分でない室内では、鑑賞できる期間に限りがあります。春から夏は温度・湿度ともに高くなるため、1〜2日を目安に屋外へ出してください。冷房中の部屋は空気が乾燥しやすく、盆栽にダメージを与えやすいので避けましょう。
秋から早春にかけては3〜5日程度室内に置いても構いませんが、暖房の効いた部屋も傷みやすいので注意が必要です。
盆栽を飾る時期
盆栽を屋内に飾るのに最もふさわしい時期は、一般的に秋頃から翌年2〜3月の早春にかけてです。この時期であれば3〜5日間飾ることができます。春から夏は根腐れや葉焼けが起きやすいため、1〜2日だけ屋内に飾ったら、すぐに屋外へ戻しましょう。
冷暖房のある部屋は温度・湿度の変化が少なく、盆栽には不向きです。エアコンの風は盆栽にとって致命的となりますので、絶対に当たらないようにしてください。乾燥に加え冷暖房の風が当たると、樹勢が衰え、生育に支障をきたします。
盆栽を室内に置く際の留意点をここで改めて確認しておきましょう。
1.短時間でも日光に当てる
生育に欠かせないのが日光です。短時間でも屋外に出して太陽光を浴びせましょう。特に午前中の日光は樹にとって重要です。室内でも、できるだけ日の当たりやすい場所に置くようにしましょう。
2.新鮮な空気に触れさせる
風通しの悪い場所では、根腐れや枝枯れ、病気が発生しやすくなります。室内は空気がこもりやすいので、こまめに換気を行いましょう。空気の流れがよい場所を選び、鉢の周囲にはものを置かないようにしてください。
3.夜露に当てるようにする
水やりとは別に、夜露に当たることは植物の生育に欠かせません。実の発達や樹の成長にも夜露は大切です。できれば夜に屋外へ出して夜露に当てますが、難しい場合は葉水を与えるようにしましょう。
4.水やりを工夫する
盆栽は表土が乾いたら鉢底から水が抜けるほどたっぷりと水やりするのが基本ですが、室内では難しい場合もあります。水やりの前後だけ屋外に置く、受け皿を使う場合は水を溜めないなど工夫してください。
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5.肥料を工夫する
室内に飾る盆栽は比較的小さな鉢が多く、鉢土も少ないため栄養の蓄積力も限られます。定期的な施肥は必要ですが、夏と冬は生育が鈍るので控えめにし、春と秋に十分与えるようにしましょう。
室内に飾る際の樹種別の注意点
松柏類
新芽が伸びる時期は避け、10月頃から翌年3月頃までが最も適した時期です。春から夏でも風通しのよい部屋であれば1日程度は飾れます。秋には古い葉を取り除いてから飾るようにしましょう。
雑木類
モミジのように芽出しが美しいものは春に飾っても趣がありますが、1〜2日に留めましょう。紅葉が美しいものは秋に、冬に葉が落ちた後の枝ぶりや幹を鑑賞する「寒樹」として楽しめるケヤキやソロなどは冬に飾るのもよいでしょう。
花物類
開花時期に合わせて飾るのが最もふさわしいですが、室内での鑑賞は2〜3日程度が適当です。
実物類
秋、実が充実した時期に飾ります。カイドウやカリンのように花盛りの時期に飾られることの多い実物盆栽もありますが、花どきに屋内に置くと結実しなくなることもあるので注意が必要です。
屋内での飾り方
盆栽が一般家庭に広く普及したのは明治時代以降ですが、歴史を遡ると古い文献の中にすでに盆栽らしき姿が記されており、その長い歴史をうかがい知ることができます(詳細は盆栽の起源・歴史についてのページをご覧ください)。
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和室に盆栽を飾る場合は、長い歴史と伝統の中で培われたしつらえの知恵に学ぶべき点が多くあります。そうした知恵を活かしながら、現代のライフスタイルに合った飾り方をご自身で見つけてみてください。
和室
日本の伝統的な和風家屋で盆栽を飾る場所といえば、床の間や玄関が代表的です。お客様を迎える際に最も目に留まりやすい場所だからです。
その他、和室のふすまや壁を背に、卓や花台などに飾ることもあります。箪笥や棚の上に香炉と並べてさりげなく置くのもよいでしょう。
和室で盆栽を引き立たせるポイントは、以下の3点です。
季節感を合わせる
清潔感があること
空間を広くとること
もう一点気をつけていただきたいのが、部屋の清掃・整理です。乱雑な空間に盆栽を飾っても、その魅力が台無しになってしまいます。
伝統的な和室の風情には、自然との一体感が欠かせません。盆栽は四季を通じてさまざまな表情を見せます。春は芽出しの美しいモミジやサクラ・フジなどの花物類、夏は緑が活き活きとした松柏類、秋は色づく樹や実物類、冬は落葉した雑木類の寒樹など、四季の移ろいを見事に演出します。
盆栽の飾り方次第で、春の華やぎ、夏の涼感、秋の豊穣、冬の侘び寂びが一層深く感じられることでしょう。
伝統的な飾り方
床飾り
床の間に飾ることを「床飾り」といいます。「床飾り」の基本は、主役となる盆栽=「主木」、「添え」、「掛け軸」の3点で構成されます。主木が松柏類の場合、「添え」には花物類や草物類を用いて季節感を表します。
主木 飾りの中心となる樹。端正で力強い樹形のものを選びます。五葉松・黒松・真柏などの松柏類が格式あるものとしてよく用いられます。もちろん、他の樹種も樹形によっては主木になり得ます。
添え 主木の流れを受けて引き立てる役割を担います。大きすぎず小さすぎないものを選び、花物や草物を使うのが一般的ですが、水石や添配(盆栽を飾る際に用いる小さな置物。木製・金属製・陶製など素材は様々)で代用することもできます。
掛け軸 主木が引き立つものを選びます。春は梅・サクラ・桃の花、夏は海・流水・カワセミなどの夏の風物詩、秋は紅葉・すすき、冬は雪を頂く山々や山里の冬景色など、季節感のあるものを選びましょう。
主木は掛け軸に向かって流れるように置き、盆栽の下には地板や卓を敷きます。主木の立ち上がりを「勝手」と呼び、右に立ち上がれば右勝手、左に立ち上がれば左勝手といいます。
枝の方向を「流れ」と呼び、添えは流れを受け止める役割を担います。右流れであれば右側に、左流れであれば左側に添えを置いて流れを受け止めるようにします。
左右や後方に添えるものはあくまで主木を引き立てるための飾りであり、掛け軸や添えは主張しすぎず、主木が映し出す自然の景観や季節感を表すためのものです。人物画などは避け、すっきりとしたものを選びましょう。香炉を置いてもよいでしょう。
これらの決まりごとの背景には、古くから培われてきた調和美を尊ぶ考え方があります。「主木」「添え」「掛け軸」の3点構成という伝統的な飾り方の法則を念頭に置きながら、ご自身の生活様式に合った飾り方を見つけてみましょう。
床の間に置く場合、卓は床の間の間口の3分の1程度の大きさにし、盆栽も卓にふさわしい大きさのものを選びます。
次に盆栽の枝や幹の流れを見て、右か左のどちらに飾るかを決めます。盆栽が全体的に右に傾いているなら卓を左寄りに置いて右の空間を確保し、左に傾いているなら卓を右寄りに置いて左の空間を空けるようにします。
盆栽の流れを前提に述べましたが、直幹の場合は差し枝(最も下の長い枝)の向きで飾り方を考えます。差し枝が右に出ていればやや右寄りに、左に出ていれば左寄りに盆栽を置きましょう。
バランスの観点から、大小・高低に変化をつけて組み合わせると抑揚が生まれ、演出効果も高まります。床の間を額縁に見立て、絵を描くつもりで盆栽・掛け軸・添え物などを配置するのが美しく見せるポイントです。
床の間がない場合の飾り方
床の上に毛氈やゴザなどを敷き、主木と添え物の2点でしつらえます。白や金の屏風2曲をバックに飾るのもよいでしょう。どちらが主木か判断しにくいほど立派な盆栽を2点同じ席に飾ることは避けてください。
棚飾り
黒檀・紫檀・花梨などで作られた盆栽専用の飾り棚に、複数の小品盆栽を飾ることです。棚を額のように捉え、季節ごとの美しい盆栽を棚とのバランスを見ながら配置します。
寄せ植えと同様に、三・五・七などの奇数にします。棚に盆栽を置く際は、直接置かず必ず卓の上に載せます。
飾り棚を使う場合、最も高い部分は「天場」と呼ばれ、樹格の高い松柏類が飾られることが多く、順に下段へと配置していきます。中段・下段には雑木類・花物類・実物類を置くのが定石です。懸崖・半懸崖・大懸崖などは下垂する樹形のため、やや高めの段に飾ると調和が取りやすいでしょう。
全体のバランスが重要なので、各盆栽の樹高・幅・流れ・鉢の色などにも気を配る必要があります。三点・五点・七点飾りを比べると、同じ盆栽でも飾り方によってイメージが大きく変わることがわかります。
三点飾り
「主木」「受け」「添え」で構成される飾りです。鉢数が少ないと簡単に思えるかもしれませんが、かえって難しい場合もあります。鉢数が少ない分、余白の美を活かすことがポイントです。
「主木」を松柏類にした場合、「受け」には株立ちや寄植えなどの多幹の盆栽が合い、「主木」の方向に向かうものを選ぶとよいでしょう。「主木」が多幹の場合は逆にしてください。「主木」と「受け」が互いの流れを受け止め合うと安定感が生まれます。また、飾る時期にふさわしい季節感を持つ樹種であることが望ましいです。
「下草」はバランスを整え、飾りに個性や面白みといったアクセントを加える意味で大切な存在です。
五点飾り
「主木」「受けの盆栽」「添え」で構成される飾りです。
使用する盆栽は斜幹や半懸崖などがよく合います。「受けの盆栽」は「主木」の流れを受けて引き立てる役割を担うため、「主木」が右に流れているなら「受けの盆栽」も「主木」の方向に向かう樹形が望ましいです。
力強い印象の松柏類を置くとしたら、「受けの盆栽」の一つに山野草などでは印象が弱くなることもあります。
軽妙な印象の半懸崖・吹き流し・斜幹などの雑木類がよいでしょう。また、対峙するものは互いの流れが呼応するような樹形のものを選びましょう。
3点の盆栽を配置した側と逆の位置には、主木や他の受けの盆栽と呼応するような斜幹や株立ちなど、弱すぎない印象のものが好ましいです。呼応する盆栽の間に置くものは、全体との調和を図るため、石・草・添配などがよいでしょう。
七点飾り
盆栽の点数が多い場合、全体の統一を重んじるあまり単調になる恐れもあります。高低のメリハリをつけるため、飾り棚の中央に違い棚があるものを使うと変化が生まれます。
樹高が低い松柏類の模様木が天場に配置されることが多いです。力強く丹精な樹形であれば雑木類でもよいでしょう。
中段には少し軽めで軽妙な動きのあるもの、雑木類・花物類・実物類など、場合によっては松柏類でも構いません。
中段内側には天場に対して受けとなる、樹高の低い盆栽がよいでしょう。天場が単幹であれば双幹以上のものが好ましいです。
直幹や立ち模様などにするとバランスがよいです。
上段から流れを受けて、安定感のある樹形のものが適しています。
棚全体を受ける位置には、大きめで存在感のあるものを置き、棚に向かう流れのものを選びます。
全体的なバランスを整える意味で、草・石・添配などをよく考えて配置しましょう。
直幹や模様木などの樹形の盆栽がよく、杉・ヒノキ・杜松・ケヤキ・カエデなどの松柏類・雑木類で小さい芽のものが好ましいです。草物類や石などでもよいでしょう。
丸卓の飾り方
丸卓は四角形の箱卓よりも軽快な印象があるため、動きのある樹形に適しています。すべての棚に盆栽を置くとしつこくなるので、バランスを考えて何も置かない場所を設けることも大切です。
曲線が遊び心を演出してくれるので、花物類・実物類だけで飾ったり、石・添配などに工夫を凝らしたりと、自由な発想で楽しめます。
この位置の盆栽は、斜幹や半懸崖などの動きのある樹形がよく合います。
受けの位置には樹高の低い盆栽や、滝石・遠山石・溜まり石などがよく合うでしょう。
スペースが狭い場所には、小さな山野草・石・添配などを置くとよいでしょう。
丸卓を受ける流れのもので、存在感のある斜幹や半懸崖などの樹形が適しています。場合によっては株立ちでも調和が取れます。
空間的な調和を取るために、小さな山野草・石・添配などが好ましいです。
しつこくならないよう、何も置かなくてもよいでしょう。
洋間での飾り方

近年は和室のない住宅やフローリングのみのマンションも増えています。洋間ではダイニングチェアやソファに座ることが多いため、盆栽も和室より高めの位置に飾ります。物が多い場所や壁に何か飾ってある場所よりも、無地の落ち着いた壁の前に飾ると盆栽がより引き立つでしょう。
ダイニングテーブルやコーヒーテーブルにさりげなく飾っても、洋室の雰囲気が引き締まります。空間が広めの場所の方が、鑑賞するのに適しているでしょう。
玄関での飾り方
玄関の靴棚や収納棚の上に平卓で飾るか、上り口などに棚を置いて小品盆栽や中品盆栽を飾るようにします。ここでも、盆栽の周囲にはなるべく物を置かない方が盆栽が引き立ちます。
飾る際の注意点
1.汚れを落とす
せっかく室内に飾って鑑賞するのですから、枝葉が枯れていたり、幹に汚れがついていたりすると台無しです。
丁寧に確認してから飾りましょう。
普段からきれいな状態を保つのが理想ですが、室内鑑賞の前に枯れた枝葉や汚れを取り除き、鉢内のゴミも掃除しておきましょう。
2.剪定する
込み入った枝を剪定し、根元付近に生えているひこばえも見苦しいので切り除いておきましょう。
3.鉢内をきれいにする
盆栽そのものを鑑賞するために、鉢内の固形肥料・肥料カス・雑草などをピンセットで取り除いておきます。
4.鉢の周囲の汚れを取る
鉢まわりの汚れを取るため、固く絞った濡れタオルで丁寧に拭いておきましょう。
5.表土や苔をならす
表土や苔を、こてできれいにならしておきます。
6.展示道具をきれいにする
盆栽がきれいになったら、飾るための道具も丁寧に手入れしておきましょう。
7.正面を見極める
盆栽の正面をよく見極めてから飾るようにしましょう(詳細は盆栽の鑑賞の仕方をご覧ください)。盆栽が最も美しく見える向きをじっくりと考えてみてください。
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ここまで準備ができたら……
卓や地板の上に盆栽を載せて飾りましょう。卓や地板にこだわらず、ご自身のライフスタイルに合った自由な発想で飾っていただくのも、また一興です。
飾るための道具
盆栽を飾って楽しむための道具として、卓・地板・飾り棚などがあります。盆栽とこれらの道具が調和していれば盆栽の魅力が引き立ちますが、合っていなければせっかくの盆栽の良さが半減してしまいます。
道具を見極め、盆栽を飾る楽しさを深めましょう。
自宅で気軽に盆栽を鑑賞したい場合、卓や飾り棚は必ずしも必要ではありませんが、正式な飾り方をする際は盆栽の品格を損なわないよう、相応の道具を使って陳列することが慣習となっています。
卓
盆栽の卓は、ただ盆栽を載せるだけの道具ではなく、縮景の一部を担う重要なものです。そのため、樹形に応じて卓を使い分けることが極めて大切です。
盆栽には高卓・中卓・平卓などがよく使われており、装飾が控えめなシンプルなものから、全面や鰭部分に飾りが施されたものまで多様です。
地形と樹形の関係
樹形に応じて卓を使い分けるために、地形と樹形の関係を知っておきましょう。
・平地の樹形 模様木・直幹・斜幹・文人・寄せ植え
・山岳地・山地の樹形 半懸崖・播幹・根上がり・石付き・吹き流し・直幹・斜幹
・高山・岩場等の樹形 懸崖・半懸崖・播幹・石付き
上記をもとに、樹形に応じた卓の使い分けの目安が導き出せます。以下に卓の種類と適した樹形をまとめます。
1.平卓 高さ10〜20cm程度の平たい机状の卓。天板の形は長方形・楕円形・正方形などがあります。
適した樹形 斜幹・直幹・根上がり・吹き流し・模様木・寄植え
2.中卓 高さ30〜40cm程度の卓。平卓よりやや脚の高いもの。
適した樹形 模様木・直幹・斜幹・寄せ植え・吹き流し・根上がり
3.高卓 高さ50cm以上の卓。中卓よりも脚の高いもの。
適した樹形 懸崖・半懸崖
4.小品卓 小品盆栽に使用する小さな台。
5.地板 脚のない薄い板状の敷板。
適した樹形 文人・寄せ植え・吹き流し
根上がりや吹き流しについては、盆栽の雰囲気やバランスによってさまざまな卓を使っても構いませんが、上記がおおよその目安となります。平地にある樹形を想像してみてください。どっしりとした安定感を出すには平卓の方が重量的に調和が取れるでしょう。
景色を思い描きながら卓を選べば、自ずとぴったりのものが見つかるのではないでしょうか。
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卓の材質
硬質で光沢のあるものが重宝されます。材質がよければ傷がつきにくく、年月を重ねるごとに味わいが増します。高価なものには紫壇・黒壇・鉄刀木(たがやさん)などが使われています。ケヤキ・モミジ・タケ・キリなどで作られたものもあります。
材質の良いものは総じて高価ですが、高級であればよいというわけでもなく、盆栽の魅力をより引き立ててくれる卓を選ぶことが何より大切です。
卓や地板は市販品もありますが、手作りのものでも十分代用できます。ホームセンターに行けば、さまざまな材質の木材が揃っています。
簡単な地板の作り方
ホームセンターで杉の端材を20cm程度に切ってもらうか、自分でカットします。
杉の表・裏・側面をバーナーやトーチランプなどで焼きます。
焼いた部分のすすが手につかなくなるまでブラシで落とし、粉を十分に拭き取ってください。
盆栽を飾ってみると……
自作の地板に飾ると、盆栽がより身近に感じられるのではないでしょうか。卓や地板だけでなく、棚も自作すると飾る楽しみが一層広がるかもしれません。
飾り棚
小さな盆栽・小品盆栽をまとめて飾るのに使われる棚。代表的なものには、四角い箱型で2段以上の違い棚がある箱卓と、半円形で違い棚のある丸卓があります。
添配
盆栽を飾る際に添えて置く小さな置物。カエル・スズメ・シカ・カメ・カタツムリなどの動物、昆虫、藁葺き屋根の小さな家、渡し船・帆掛け船などの小舟、お地蔵様・仏様、釣り人・人形など、バリエーションは豊富です。
素材は銅製・鉄製などの金属製、陶製、磁器製、木製などがあります。
季節感を演出しながら主木を引き立て、飾りに趣を添える役割があります。
水石
添配として水石を用いることもあります。
水石(すいせき)とは、山水の景観が感じられる石として重用された「山水石」または「山水景石」が省略されたものという説があります。水盤に石を飾った作品を目にすることもあります。盆栽を飾る際、水石は「添え物」として使われたり、受けの盆栽の代わりに用いられたりします。
また、水石そのものを楽しむ方法として、硬質の紫壇・黒壇・花梨などの台座を作って鑑賞する場合と、水盤に砂を敷いて水石を置き、時折水を注いで鑑賞する場合の2通りがあります。
水石と植物を組み合わせて盆栽と一緒に飾ると、自然の景観の一部が凝縮されたような趣が生まれ、盆栽の魅力がより一層際立ちます。盆栽の添え物として用いられる水石は、大きく9つの種類に分類されます。
岩潟(いわがた):波に削られた荒磯や断崖絶壁の姿を表した石
芽舎石(くずやいし):茅葺き屋根の農家など、素朴でひなびた家屋の形を表した石
島形:荒波が孤島の岩礁を洗い流すような情景を表した石
滝石:水が流れ落ちる滝の姿を思わせる形の石
段石:長い年月をかけた自然の営みによる地形の変動を感じさせる段状の石
遠山石:遠くにそびえ立つ山並みを彷彿とさせる形の石
たまり石:自然のくぼみに水を注ぐと水が溜まる形状の石
土波石(どはいし):全体的に平坦で、一部に山を思わせる緩やかな隆起を持つ石
文様石:石の表面に花・鳥・蝶・雲・月などの模様が浮かび上がる水石
水石の歴史
日本には飛鳥時代(538年〜710年)に中国から伝わり、鎌倉時代〜南北朝時代頃に広まったとされています。当初は中国由来の文化のひとつでしたが、盆栽と同様に日本独自の解釈を経て、盆栽の流行とともに日本固有の文化として根付いていきました。
当初は権力者や知識人の間で侘び寂びの境地を楽しむものでしたが、江戸時代以降は庶民にも広まりました。明治中期からは盆栽家や文化人の趣味として発展し、現代ではその伝統を大切に守りながら、多くの人に親しまれています。
水石の鑑賞ポイント
水石を鑑賞する際には、「色」「形」「質」の三要素を意識すると、水石の持つ美しさを
より深く理解しやすくなります。
色
色については、深みと落ち着きのある色合いが好まれます。白みがかったものより黒みの強いもの、真黒・青黒・灰黒などが特に珍重されます。
形
形については、どこかしら自然の景観を連想させる要素を備えていることが求められます。石そのものが自然の風景を彷彿とさせるものが理想とされます。
ソ
質については、硬く緻密で、容易に欠けたり変質したりしないことが第一条件です。ただし硬さだけでなく、どこかに柔らかな風情も兼ね備えていることが大切です。
さらに「肌合い」と「時代」の2要素を加えた五大要素が、名石の条件とされています。
肌合い
穴や凹凸、ひだ、筋などが刻まれ、深い味わいを持つもの。自然に形成されたものや、養石を重ねて風化により生じた古びた趣のあるものが評価されます。
時代
「色」「形」「質」「肌合い」が十分に備わった上で、佇まいに風情と古びた趣を持ち、長年にわたる養石と丹精の積み重ねが感じられるもの。
展示会・展覧会場での飾り方
盆栽愛好家が集まる同好会や愛好会での展示会では、家庭での飾り方と大きく変わるわけではありませんが、配置や見せ方に工夫を凝らすことで、展示会としての意義がより深まるでしょう。
一席飾り
卓に載せた樹と添えの下草・水石などをひとまとめにして一席とし、その席を会場に並べていく飾り方です。
卓を置く台の高さは70〜80cm程度が適当で、盆栽を卓に載せた状態から約60cmの高さ、横幅160〜180cm、奥行き90〜120cmが目安となります。
背景には白やクリーム色など盆栽を引き立てる色が主流ですが、金や銀を用いるとより華やかな印象になります。限られた空間の隅々まで意識して飾ることが大切です。
一品飾り
出品点数が多い場合や卓がない場合などに用いるやや略式の飾り方で、合席飾りとも呼ばれます。連続した棚に一列に並べるのが一般的ですが、一段・二段と変化をつけたり、一品ずつ卓に載せたりすることもあります。下草を所々に配置することもあります。
二段に飾る場合は、一段目と二段目の盆栽が重なり合わないよう注意が必要です。
陳列の際に
一列の飾りは全体の調和を意識して配置します。中央に最も見栄えのする盆栽を据え、次いで優れた盆栽を両端に置くと全体が引き立ちます。
小品盆栽を大品盆栽と一緒に並べると存在感が薄れてしまうため、小品は小品だけをまとめて陳列するスペースを設けましょう。
樹種については、松柏類のそばに葉物類や花物類を配するなど変化をつけ、同じ樹種が連続しないよう工夫すると展示に動きが生まれます。樹高や樹形にも高低・変化をつけると、より魅力的な展示になります。
特に展覧会場では、全体の調和を保つため、出品者個人が独自に飾るのではなく、展覧会スタッフや陳列委員が統括して配置するようにしましょう。
展示会・展覧会の会期中も盆栽のケアを怠らず、水切れが起きないよう注意し、葉が乾燥しないよう葉水を適切に行いましょう。
屋外での陳列
先端に板を付けた棒杭に盆栽を載せて陳列する方法、棚に並べる方法、地板や鉢が安定する岩などを活用して陳列する方法など、さまざまな展示スタイルがあります。
盆栽は基本的に屋外で管理するものであるため、屋外での陳列は日光や風に当たりやすく、水やりもしやすいというメリットがあります。
ただし、天候など自然環境に左右されたり、盗難の恐れもあるため、管理面での十分な注意が必要です。








