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赤石山

多様な高山植物が自生する、登山家にも人気の自然と歴史の山
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/11/07
  • 投稿日:2022/11/07
赤石山

赤石山系

愛媛県東部に位置する法皇山脈のうち、峨蔵峠の東から西に広がる山地を赤石山系といいます。東西約15km、南北約10kmにわたる広がりを持ちます。

石鎚山脈の支脈の一つで、西赤石山(標高1626m)・東赤石山(標高1706m)・二ツ岳(標高1647m)など1400〜1700mの山々が連なっています。

東赤石山・二ツ岳・「伊予小富士」とも呼ばれる赤星山(標高1453m)を合わせた土居三山は四国屈指の名峰で、多くの登山客が訪れます。

東赤石山を中心とする赤石山系の稜線は、地球のマントルを構成する橄欖岩(かんらんがん)という岩石で形成されています。

橄欖岩に含まれる鉄分が酸化して岩が赤茶けていることが「赤石山」という名の由来で、東赤石山はかつて「赤太郎尾」とも呼ばれていました。

赤石山一帯には長い歴史を持つ五葉松が無数に自生しており、広大な原生林が広がっています。

※橄欖岩:火成岩(深成岩)の一種で、ケイ酸分に乏しい超塩基性岩に分類されます。黄緑〜緑色のかんらん石、暗褐・緑色の輝石類、黒色のクロムスピネルなどがモザイク状に集合した等粒状組織を持ち、密度は約2.9〜3.5g/cmと非常に高い岩石です。
※庭や川原に落ちている一般的な石の密度は2.0〜3.0g/cm程度です。

東赤石山について

赤石山

赤石山系の最高峰である東赤石山は、愛媛県四国中央市と新居浜市の境界に位置し、赤石山系の中央部を占めています。

橄欖岩が剥き出しになった荒々しい岩峰が特徴的で、山頂一帯は高山植物の宝庫として知られています。日本二百名山・花の百名山・四国百名山にも選ばれています。

頂上には地図作成・測量の基準として利用されてきた三等三角点が設置されています。

橄欖岩の鉄分が酸化した赤茶けた岩と高山植物の色合いが相まった独特の景観を見せ、紅葉時にはさらに鮮やかに色付きます。

山頂からは石鎚山や剣山(標高1995m)など四国の名峰が幾重にも連なり、北側には瀬戸内海の島々、晴れた日には本州まで望むことができます。

所在地 位置 山系 標高 最高気温(6月〜8月) 最低気温(6月〜8月)
愛媛県四国中央市/新居浜市 北緯33度52分30秒 東経133度22分30秒 石鎚山脈東部―法皇山脈 1,706.0 m 20.6℃ 8.1℃

赤石山系・東赤石山の植物

赤石山の高山植物

赤石山系の植物は非常に多様で、高山植物・亜高山植物が豊富です。特にツガザクラやアカモノの群落は広く知られています。

標高1700m以下での高山植物の分布は、橄欖岩をはじめとする多様な鉱物を産出する特殊な地質的要因によるものです。

海抜が比較的低いにもかかわらず高山植物が多く自生しているのは、強い南風にさらされた乾燥した砂礫地と同様の地形が形成されているためと考えられています。

東赤石山は四国随一の高山植物の宝庫とされ、赤石山系の高山植物は愛媛県文化財保護条例により天然記念物に指定されています。

「盆栽の女王」とも称される「赤石五葉松」には、東赤石山の原生林の息吹が色濃く刻まれています。

赤石山系の高山・亜高山植物の分布は、山系を形成する母岩の違いによって地域差が見られます。

ツガザクラやアカモノは角閃岩・結晶片岩地帯に、コウスユキソウ・ユキワリソウなどは橄欖岩地帯に分布しており、「赤石五葉松」も橄欖岩地帯特有の植物です。

赤石山系の銅山峰(標高1300m)には、国の天然記念物「銅山峰のツガザクラ群落」に指定されたツガザクラやコメツツジの大群落が見られます。
アカモノは広範囲に自生しており、5月下旬頃に白い花を咲かせ、美しい景観を作り出します。

植生の垂直分布帯としては、低山帯から暖帯落葉樹林帯を経て、山頂付近ではクロベ・ツガ・ヒノキ・ウラジロモミなどの常緑針葉樹自然林が広がっています。

銅山峰から西赤石山頂を経て前赤石の間には、落葉樹林や低木層・亜高木層の混生型雑木林があり、春にはツツジ、秋には紅葉を楽しむことができます。

東赤石山の地質

赤石山の地質

赤石山系には、東赤石橄欖岩体や変成岩体に付随して、エクロジャイトやざくろ石角閃岩など国内でも珍しい岩石が産出します。

東赤石山周辺は地質学的・岩石学的に大変重要な意味を持つ地域です。

東赤石山の橄欖岩は、二酸化ケイ素が少なく酸化マグネシウムが多い超塩基性岩で、他の岩石とは異なる特異な組成を持っています。

三波川変成帯に属し、超塩基性岩が広く分布する東赤石山橄欖岩体は日本最大規模のものとして知られています。北側斜面には角閃岩やエクロジャイトなど高圧下で生成した変成岩が見られます。

蛇紋岩は橄欖岩が地下深部で水分の作用を受けて変質した岩石で、赤石山系でも岩体の周縁部や断層沿いに滑石化が見られます。

岩石が酸化して赤色化したことが「赤石山」という名前の由来ともなっています。

                                         
東赤石山を中心とする赤石山系は自然環境保全地域に指定されており、1790.34ヘクタールのうち特に良好な自然環境を有する410ヘクタールが特別地区として現在も保護されています。

橄欖岩から構成される広大な岩体は地質学・岩石学的に興味深く、マグネシウムを多く含む特異な地質が植生にも影響を与え、高山植物の宝庫として植物学的にも貴重な地帯となっています。

愛媛県の特別保護地区に指定されており、数多くの珍しい高山植物が自生しています。八巻山では蛇紋岩系の橄欖岩が露出し、四国では稀なアルペン的な景観が楽しめ、研究者・専門家だけでなく登山客にも人気です。

「赤石五葉松」盆栽は、このような稀少な自然環境と長い歴史を背景に生まれた、類まれな自然の産物といえるでしょう。

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