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赤石五葉松の実生仕立て

赤石五葉松が愛される理由
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/9/14
  • 投稿日:2022/9/14
  1. 赤石五葉松
赤石五葉松の実生仕立て

五葉松の山取り

自然の山に自生する小さな木を採取して鉢に植え、盆栽に仕立てたものを「山取り盆栽」といいます。畑や鉢で育てた木と比べ、自然が育んだ幹肌の風合いや力強い生命力が盆栽としての価値を高めます。

赤石五葉松盆栽においても、かつては赤石山一帯から採取した「山採り」が関東圏からも買いに来るほどの人気を誇っていました。

赤石山頂付近の高山植物は愛媛県の天然記念物に指定され、条例によって勝手な採取が禁じられました。

山取りから実生へ

五葉松の実生苗

需要の高まりと山採り苗の枯渇により、山で種子を採取して苗を育てる「実生苗仕立て」の方式へと移行していきました。

当時、種の採取は解禁日以降9月上旬頃まで行われ、急斜面にロープを使って登り、枝をたぐり寄せながら松かさを採取するという危険な作業でした。

実生仕立ての手法は今も受け継がれており、現在は畑に地植えされた松から松かさを採取する安全な方法が取られています。

種の採取

五葉松の実生苗

採種の適期は、松かさがまだ完全に開かず、緑色が残る8月下旬から9月中旬です。採取した松かさは、まず直射日光の当たらない場所に保管します。

五葉松の実生苗 採取した松かさは徐々に茶色が深まり、かさが開いていきます。開いたかさから種子を取り出しましょう。ピンセットを使うと作業がしやすくなります。種子には薄い翼(羽)が付いており、茶色い種粒の部分を持って翼を軽く引くと、きれいに外れます。

五葉松の実生苗

次に種子を水に浸けると、優良種は自然に沈み、押して沈むものは二番種、まったく沈まないものは不良種と判別できます。この方法で種を優良種・二番種・不良種の三段階に選別します。

選別後は十分に乾燥させ、紙袋や布袋に入れて、播種まで湿気の少ない低温の場所で保管してください。

保管していた種は、気温がまだ低い15℃以下の時期、採種翌年の2月末から3月初旬にかけて播きます。

播種後にビニールで覆いをすると、3月下旬から4月中旬には発芽が見られます。

発芽した五葉松の育て方

五葉松の実生苗

1年目の苗の管理は、主に水やりと害虫防除が中心です。

2年目には1月下旬から3月下旬の間に苗の移植を行います。また、梅雨明けから11月上旬の苗が最も充実する時期に、月1回の施肥を実施します。

3年目になると、順調に育てば枝数が増え、幹も少し太くなります。消毒や施肥は2年目と同じ要領で行います。重要なのは5月中旬から6月中旬にかけての芽摘み(春芽の処理)です。春芽の処理が間に合わなかった場合は、9月から10月頃に秋芽を処理します。

4年目には2月から4月にかけて、2年目と同様に移植します。また、枝抜きを行い樹形を整えます。一度に切りすぎると根とのバランスが崩れるため、1年ごとに少しずつ枝を外していきます。

五葉松の実生苗

幹が本格的に太り始める5年目以降は、移植・消毒・施肥・芽摘み・枝抜きを繰り返し、幹を太く丈を低く保つよう培養管理します。畑で育てた幹は、鉢栽培のものと比べてかなりの太さになります。

盆栽としての骨格が整うのは8年目以降です。この時期には不要な枝や太枝と根のバランスを考えながら整枝を進めます。

鉢上げは10年から12年目頃が目安です。実生から育てた五葉松がいよいよ盆栽として完成します。鉢上げ後は本格的な整枝を施し、幹の太さと樹高に見合った鉢に植え付けます。

かつて山採りされた苗も、移植・消毒・施肥・芽摘み・枝抜きなど実生苗と同様の培養管理が行われてきました。産地の圃場では年度別の実生苗・山取り苗が各所で栽培され、鉢植えの盆栽は管理しやすい場所に棚を設けて育てられていました。

実生から育てる五葉松盆栽

産地では、五葉松の原種を大切に守りながら、種をまいて長い年月をかけて盆栽を育てる取り組みを続けています。

それは数年でできることではなく、十年、百年という時間をかけて完成されるものです。多くは先代から受け継がれ、長い歴史の中で五葉松が育まれてきました。

今まいた種が盆栽になるのは、自分の代ではないかもしれません。それでも、後世に自然の姿を残すべく、種をまき続けることに意義があります。

五葉松の実生苗

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