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盆栽に発生する病害虫とは?健康な盆栽を育てるために、種類と傾向を把握しておきましょう。

どんな病害虫が盆栽につきやすいかを知ることで、対策も立てやすくなります。予備知識を身につけて、大切な盆栽を病気や害虫から守りましょう!
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/8/25
  • 投稿日:2022/8/25
  1. 基本の管理
盆栽に発生する病害虫とは?健康な盆栽を育てるために、種類と傾向を把握しておきましょう。

目次

  • 病害虫について
  • 病害虫の発生メカニズム
  • 病害虫への最善策は予防
  • 生育環境を整える
  • 病害虫を防ぐポイント
  • 病害虫による被害の症状
  • 樹種別 病害虫とその対策
  • 主な害虫一覧
  • 病害虫が発生しやすい樹種・しにくい樹種
  • 盆栽に発生しやすい病害虫まとめ

病害虫について

園芸植物や作物は野生種を品種改良したものが多く自衛力が低下していますが、盆栽に使われる樹種は野生に近いものが多く、比較的丈夫で強健なものが大半です。
一般的な草花ほど神経質になる必要はありませんが、盆栽は鉢という限られた環境で育つため、一度病気や害虫が発生すると手の施しようがなくなることもあります。

少量の鉢土で育つため根が十分に伸びにくく、日当たりや風通しが悪い環境、天候不順などの悪条件が重なると病害虫が発生しやすくなります。管理には十分な注意が必要です。

病害虫の発生メカニズム

病害虫の発生には、

主因〔病原菌:細菌・カビなど〕、
素因〔植物の性質・状態〕、
誘因〔生育環境・培養管理〕
の三要因が揃ったときに生じると言われています。








病害虫への最善策は予防

病害虫対策には、何より予防が重要です。そのためには樹の状態をよく把握することが大切です。水やりの際に盆栽をよく観察し、生育環境に気を配りながら、異変にすぐ気づけるよう心がけましょう。

日頃から鉢内を清潔に保ち、水やりの際には枯れ葉・変色した葉・しおれた花がら・雑草などをこまめに取り除き、葉の裏に虫がついていないか確認するようにしてください。

盆栽の周辺にある庭木や他の鉢植えからの落ち葉を放置すると、虫や菌が繁殖しやすくなりますので注意しましょう。
毛虫やシャクトリムシなどが落としたふんを葉や鉢内・周辺で見つけたら、発生源を特定し、被害を最小限に抑えるよう、被害葉や虫を取り除くか薬剤を散布して対処しましょう。

病気には殺菌剤を、取り除けない害虫には殺虫剤を散布して株を消毒してください。

樹が丈夫に育つよう、日当たりや風通しなどの生育環境を整え、水やりや施肥を適切に行うことが病害虫予防の基本です。
以下の点に注意して、病害虫予防のためにも植物を健康に育てましょう。

生育環境を整える


盆栽の置き場所については別ページで詳しく説明していますが、以下のような適切な環境で管理することで、病害虫に強い丈夫な樹に育てることができます。

日当たりのよい場所に置く

盆栽の多くは光を好む植物です。できるだけ日当たりのよい場所に置くのが理想ですが、住環境の都合で難しい場合は、午前中だけでも日光に当ててください。1日4時間程度の日照でも効果があります。
夏の強い直射日光で傷む樹種もありますので、置き場所を工夫するか、遮光ネットで盆栽を保護しましょう。

風通しのよい場所に置く

風通しが悪いと湿気や熱がこもり、枝枯れ・根腐れ・病気の原因になります。周囲の障害物を減らし、建物や壁から離す、鉢と鉢の間隔を空ける、枝葉を適度に整えるなど、風の通りを確保してください。

ただし、ある程度風が通れば問題ありません。強風すぎると樹が倒れたり枝が折れたりして傷つく恐れがありますので注意が必要です。

培養管理に気を付ける

水やりや肥料の施し方については別ページで詳しく説明していますが、病害虫を防ぐためにも以下のような培養管理の点に注意しましょう。

水やりをきちんと行う

盆栽の手入れで最も大切なのが水やりです。水が不足しても与えすぎても、植物は弱ってしまいます。

気候・地域・樹種・樹の大きさ・鉢の大きさ・樹齢など様々な要素によって水やりの方法は異なります。それらを考慮した上で、適切な水やりを心がけましょう。

水やりは植物の状態を確認するよい機会でもあります。水やりの際に害虫の有無もあわせて確認するようにしましょう。

肥料をきちんと与える

盆栽は限られた鉢の中で小さく育てる植物です。吸収できる水分・養分には限りがあるため、肥料も健康な生育に欠かせません。

肥料が少ないと発育が悪くなることがあり、多すぎると枝葉が茂りすぎて日当たりや風通しに悪影響が出たり、肥料焼けで根が傷んだりします。

必要な時期に必要な量の肥料を、過不足なく与えるようにしてください。

適した土を使用する

植物の生育にはどんな土でもよいわけではありません。土は水や養分を吸収する土台です。根の生育を促す、通気性・保水性・排水性のバランスがよい清潔な土を選びましょう。

枯れた葉・花などはこまめに取り除く
枯れた葉や花がらを放置すると見た目の問題だけでなく、腐食してカビが発生します。また、花がらから種がつくと養分が取られ、樹勢が弱まることがあります。

落ち葉・雑草もこまめに取り除く

落ち葉を放置すると盆栽の見た目に影響するだけでなく、病害虫の温床になりかねません。落ち葉の下は温かく害虫の潜伏場所になりやすく、長期間放置すると越冬場所にもなります。雑草も茂ると樹勢が弱まり病害虫の住み処になりますので、こまめに取り除いてください。

適宜剪定・整枝を行う

枝葉が混み合うと重なり合って日当たりや風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。剪定・整枝によって見た目の美しさだけでなく、日当たりと風通しを改善し、病害虫の繁殖を予防しましょう。

定期的に植え替えを行う

盆栽の鉢は小さいため、植え替えを怠ると根詰まりを起こし、水や空気が通りにくくなるだけでなく、根腐れや生育不良を招き樹勢が弱まります。適切な時期に植え替えを行い、植物に負担がかからないようにしましょう。

植物に傷をつけない

病原菌は植物の水孔・気孔・傷などから侵入します。台風・強風・霜などでできた傷は病原菌の侵入経路となります。暴風や冬に備えて、風よけや霜よけなどの対策を講じましょう。

培養管理の際も、不必要な傷を植物につけないよう注意してください。



●よい苗・樹を選ぶ

病害虫予防は樹を選ぶ段階から始まっています。病気や害虫が付いた苗はあっという間に症状が広がり、他の樹にも伝染することがあります。

最悪の場合、購入してまもなく枯れてしまうこともあります。
苗を選ぶ際はよく観察し、病害虫のないものを選ぶようにしましょう。

背が高すぎるものや葉・茎の色が白っぽいものは弱い株です。弱い株は病気や害虫にかかりやすいため避けましょう。

よい株・苗を選ぶポイント
・全体のバランスが整っている
・樹勢がよく、葉につやがあって元気である
・枝や茎に傷がない

必ず近くでよく見て、できれば全方向から観察した上で
株・苗を選ぶようにしましょう。

●事前に薬剤を散布する

生育環境を整え適切な培養管理を行うとともに、病害虫の発生時期に合わせて定期的に薬剤を散布しましょう。

病害虫が発生した場合は、他の盆栽に被害が広まらないよう速やかに対処しましょう。対処が遅れると被害が拡大します。

ホームセンターや園芸店などには症状に応じたさまざまな消毒液・殺虫剤が販売されています。使用の際は過剰使用で樹を傷めないよう、使用方法をよく読み、用量・注意事項を守って正しく使用してください。

種類が多くて迷う場合や複数の症状が出ている場合は、店員に相談するか、殺虫・殺菌・殺ダニ剤などが混合されたスプレータイプの万能剤を1本用意しておくと重宝します。

※対策・薬剤の詳細については病害虫の対策ページをご覧ください。

病害虫を防ぐポイント 

                               
                               

病害虫による被害の症状

病害虫には植物全体を侵すものもあれば、葉・茎・根など部分的に症状が現れるものもあります。葉が枯れる・黄変する・白くなる・斑点が出るなど、症状はさまざまです。

病気

病気の原因は大きく2つに分けられます。

1つはカビ・細菌・ウイルスなどの病原菌・病原体が感染して生じるもので、伝染性があります。植物の状態が悪く、病原菌が発生しやすい条件が揃うと発症します。

もう1つは栽培環境や管理が不適切な場合に生じる「生理障害」で、伝染性はありません。

「生理障害」で植物が弱ると枝枯れや根腐れを起こし、病気の発生につながることも多く、両者が相互に作用するケースも少なくありません。

葉に症状が現れる
白くなる

うどんこ病

初期症状として葉全体がうっすら白くなり、次第に濃くなって、葉や茎の表面にうどん粉をまぶしたような白いカビが発生します。葉が覆われると光合成ができなくなり、生育不良や枯死につながることがあります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。子嚢菌のウドンコカビ科に属する純活物寄生菌で、生きた細胞にのみ寄生します。
発生時期:4月〜11月

灰色になる

灰色かび病(ボトリチス病)
花弁に小さな斑点が現れたり、葉・茎・花弁などに灰色のカビ(白く見えることも)が生じたりします。症状が進むと病斑部が灰色のカビで覆われて腐り、多発すると生育が著しく悪化して枯死します。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌。ボトリチス属菌によります。発生時期:4月〜11月

黒くなる

すす病

初期症状としてすすのようなカビが発生し、次第に拡大して枝葉がすすをかぶったように真っ黒になります。葉がすすで覆われると光合成ができなくなり、生育不良に陥ります。

原因:主にカビとされていますが、発症に大きく関与しているのは害虫です。
発生時期:3月〜11月

炭疽(たんそ)病
初期段階では葉・茎・枝に褐色や灰色の粒状の斑点が生じます。次第に斑点が葉全体に広がり、中心部が破れて穴があき、枯死します。実の場合は黒いすす状の斑点が全体に広がります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌。子嚢菌系の真菌である炭疽病菌によります。
発生時期:6月〜7月、9月〜10月

葉枯れ病
発生初期は葉先に褐色の小さな斑点が生じ、次第に拡大して褐色〜灰褐色の病斑となります。病斑が融合して大きくなり、やがて激しい葉枯れ症状を引き起こします。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:3月〜11月

斑点ができる

褐斑病

初期段階では淡褐色の小さな点が散在します。症状が進むにつれて斑点が拡大し、黒褐色の輪紋状の模様となり、やがて小さな黒い粒状・綿毛状の胞子の塊が現れます。病斑部は徐々に黄変して落葉し、全体が枯れてしまいます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:4月〜10月

さび病
〔赤さび病〕

初期段階では葉裏に黄色っぽい小さな斑点が生じます。次第に拡大して枝や茎に白色・褐色・黒色・黄色などの鉄さびのような盛り上がった病斑が現れ、亀裂が生じて黄橙色か紫褐色の粉状の胞子が吹き出します。放置すると枯死します。

〔黒さび病〕

葉裏に褐色〜黒褐色の小さな斑点が現れ、次第に拡大して黒色〜褐色の粉状の胞子を生じ、イボ状に盛り上がります。斑点が増えると円形状の病斑となり、多発すると葉の表面や茎にも被害が広がります。

〔白さび病〕

キクに発生する白さび病は、葉裏に白い小さなイボ状のふくらみができ、葉の表側に淡黄色の斑点が多数生じます。イボが破れると白い粉が出ます。症状が拡大すると葉の表面・茎・花弁・がくにもイボ状の病斑が現れます。

〔葉さび病〕

葉裏に黄褐色〜黄橙色・橙赤色の小さなイボ状のふくらみができ、病斑表面に黄色い粉を生じます。拡大すると葉裏全体が黄褐色の粉状のもので覆われます。気温が低下すると粉が消えて病斑が暗褐色に変色し、拡大すると葉が枯れます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌。さび病菌の一種で、時期によって寄生する植物を変える異種寄生菌です。生きた細胞にのみ寄生する「活物寄生菌」です。

発生時期:赤さび病 5月〜10月
     黒さび病 4月〜6月、9月〜10月
     白さび病 4月〜6月、9月〜10月
     葉さび病 5月〜10月

赤星病

〔バラ科の植物〕

葉の表にオレンジ色の斑点が現れ、葉裏には毛羽立った丸い病斑が生じます。やがて黄変・縮みが起きて落葉します。症状が進むと大量に落葉して生育が悪化します。実物類では幼果に発生し、実が落ちることもあります。

〔ヒノキ科の植物〕                               
黄色い小さな斑点ができ、次第に盛り上がって粉っぽい病斑を形成します。症状が進むと葉が枯れ、湿気が多いと病斑からオレンジ色〜茶褐色の塊ができ、雨で水分を含んでゼリー状になります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌。さび病菌の一種で、時期によって宿主を変える異種寄生菌です。春〜初夏はバラ科に、夏〜翌春はヒノキ科に寄生します。
発生時期:バラ科 4月〜6月
ヒノキ科 6月〜翌春4月

黒星病
主にバラ科植物の葉や実に発生します。初期段階では葉に黒い斑点が生じ、急速に拡大して斑点表面に極めて小さな粒が多数でき、枝にも褐色のしみ状のものが生じます。実の場合も同様に黒い斑点が全体に広がります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌。病原菌の種類はさまざまで、バラ黒星病は他の黒星病と病原菌が異なり、バラ同士でのみ伝染します。
発生時期:5月〜7月、9月〜11月

輪紋病
初期段階では葉や茎に褐色の水紋状の小さな斑点が生じます。次第に拡大して円形または楕円形の病斑となり、中心に同心輪紋ができます。多湿状態の樹では幹にビロード状のカビが発生し、ひどい場合は下葉から枯れていきます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:5月〜9月

斑点病
葉や茎に小さな緑黒色の斑点が散在し、次第に拡大して中央部が灰白〜白色に変わります。生育不良や落葉を引き起こします。他の斑点性の病気と異なり、症状が出てもすぐには落葉せず、冬を越して春になってから枯れるのが特徴です。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:3月〜11月

ごま色斑点病
初期には葉に小さな赤い斑点が現れ、やがて円形に広がり、赤褐色から紫褐色・黒褐色の病斑を形成します。被害が進むと落葉し、樹勢も低下します。病原菌は冬季も患部に潜伏し、翌春の新葉へと伝染していきます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。

発生時期:4月〜10月

膨張・肥大する

もち病

葉・芽・花が異常に膨れ上がり、非常に目立つようになります。見た目を大きく損なうだけでなく、発症部分は最終的に乾燥して萎縮し、黒褐色に枯死します。多発すると植物全体が衰弱することもあります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。担子菌類のエクソバシディウム属菌が病原体です。
発生時期:5月〜6月

枝や幹に症状が現れる
斑点が生じる

枝枯れ病
主に枝梢部に発生します。若い枝や古い枝の一部に褐色の斑点が生じ、そこから枝全体を取り囲むように拡大します。病斑より先の枝葉が枯死し、枯れた枝の表面には多数の黒い粒状の突起が現れます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:4月〜10月

がんしゅ病

枝や幹に褐色の細長い病斑が形成されます。病斑部が膨らみ、表面はざらついたかさぶた状になって樹脂を分泌します。やがて樹皮が剥がれ、その部分が陥没して周囲が盛り上がり、褐色のこぶ状になります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:5月〜10月

胴枯れ病
樹皮の表面がわずかに膨れて軟化し、黒褐色に変色します。症状が進むと健全部との境界に亀裂が生じ、長楕円形の赤褐色の病斑となります。その後、病斑表面に多数の黒い斑点が形成され、樹皮はサメ肌状になります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:5月〜10月

ならたけ病

樹皮の下に褐色の病斑が形成され、そこから亀裂が生じて樹液がにじみ出します。根や幹の樹皮を剥ぐと白い菌糸膜が確認でき、症状が進むと黒色のひも状菌糸束も見られます。樹勢が衰え、枝の枯れ込みが進んで枯死に至ります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。食用きのこであるナラタケの菌糸が病原体です。
発生時期:4月〜10月

腐爛病(ふらんびょう)

枝に褐色のやや陥没した病斑が生じ、次第に拡大します。病斑部には多数の小粒が形成され、樹皮が剥がれやすくなり、アルコール様の臭気を発します。多湿時には病斑の粒から粘着物が滲み出し、症状が進むと病斑部より上部が枯死します。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)によります。
発生時期:4月〜6月、9月〜10月

カビが発生する

こうやく病
枝や幹に膏薬(こうやく)を塗り付けたような症状が現れます。病斑の色は黒褐色・茶色・灰色など様々で、多発すると樹勢が衰えます。この病気の発生はカイガラムシの寄生を示すサインでもあります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。セプトバシディウム属菌が病原体です。

発生時期:4月〜10月

枝や茎が異常に密生する

てんぐ巣病

枝や茎の一箇所または株元から、小枝や小葉が多数発生します。枝の一部がこぶ状になり、そこから細い枝が密生しますが、分岐部には花が付きません。すぐに枯れることはないものの、病巣が拡大するにつれ樹勢が低下していきます。

原因(樹木の場合):土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。タフリナ属菌が病原体です。
   原因(草花の場合):ファイトプラズマという細菌

根に症状が現れる
白い菌糸が発生する

白絹病(しらきぬびょう)

初期には株周辺の地表面に絹糸状の白色菌糸が発生します。その後、銀白色に変化し、茶褐色の栗粒大の球状菌核が多数形成されます。菌核が落下して越冬し、翌年の主要な伝染源となります。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。スクレロチウム属菌などが病原体です。
発生時期:5月〜10月

白紋羽病(しろもんぱびょう)

白色〜灰白色のカビが根に絡みつき、淡褐色〜暗褐色・灰白色に変色して腐敗します。被害を受けた株は徐々に生育が悪化し、萎れや落葉が生じます。症状が進むと菌糸が上方へ広がり、根が弱って折れてしまいます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。フザリウム属菌などの死物寄生菌が病原体です。
発生時期:3月〜11月

赤紫色の菌糸が発生する

紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)

赤紫色または赤褐色の菌糸が網目状に根に付着し、植物の生育が徐々に悪化します。花芽の過剰形成や果実の小型化などの症状が現れることもあります。根が腐敗して枯死に至り、症状が進むと植物全体が枯れてしまいます。

原因:土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。フザリウム属菌などの死物寄生菌が病原体です。
発生時期:8月〜10月

根腐れ病

名前の通り、根が腐る病気です。植物の根や地下茎に病菌が寄生し、寄生部が褐色に変色して腐敗します。そのため生育が悪化し、葉が黄化したり立ち枯れたりします。根はもろくなり、抜けやすくなります。

原因:フザリウム属菌・リゾクトニア属菌・疫病菌などが病原体となります。
発生時期:4月〜10月
その他、水やりの過多や施肥過多などの生理的要因によるものもあります。

こぶが形成される

根頭がんしゅ病

主に根や株元に大小のこぶが形成されます。こぶの表面は細胞が死んで黒化しており、形はごつごつしていますが柔らかく剥がれやすいです。こぶの下から毎年新たなこぶが盛り上がってきます。すぐに枯れることはないものの、樹勢が低下します。

原因:植物病原細菌アグロバクテリウム・チュメファシエンスによります。
発生時期:3月〜10月

こぶ病

枝や幹に表面がざらついた褐色・黒褐色・灰褐色のこぶが形成されます。初期は豆粒大ですが、成長すると握りこぶし大ほどになります。こぶが増加すると生育が悪化し、枯死することもあります。

原因(マツの場合):土や落ち葉に潜む糸状菌(カビ)。さび病菌の一種によります。
   フジ・ヤマモモ・サクラ・レンギョウなどの場合:細菌が原因
発生時期:9月〜12月

害虫

名前の通り、植物に害を与える虫のことです。

大きく分けると「植物の汁を吸う」タイプと「葉・茎・枝・幹・根などを食害する」タイプがあります。害虫自体や排泄物がウイルスを媒介するものもいます。

病害虫の兆候が現れた際は、症状を正確に把握することが対策の第一歩です。以下に主な症状と病害虫の種類をまとめます。




葉に症状が現れる
葉に穴があく・食害されている

アオムシ
一般的にモンシロチョウの幼虫を指します。成虫は主にアブラナ科植物の葉に黄色い小卵を産み付けます。孵化した幼虫は緑色で葉を旺盛に食べ、成長すると葉を食い尽くして観賞価値を大きく損ないます。

発生時期:4〜6月・9〜11月

コガネムシ

成虫は葉脈だけを残して葉を網目状に食べたり、花弁や花芯も食害します。幼虫は夏から翌春にかけて細根を食い荒らします。多発すると生育不良となり観賞価値が低下し、根の食害が激しい場合は枯死することもあります。

発生時期:5〜10月(幼虫は7〜12月)

ケムシ

種類が多く、形態・体色・発生時期・寄生植物などが種類によって異なります。若い幼虫は葉を食い尽くしながら移動し、成長とともに食害範囲が拡大します。植物の生育が悪化し、観賞価値も低下します。

発生時期:6月〜9月

ハバチ

ハチの仲間ですが人を刺すことはなく、成虫は腹部が黄色く黒い翅が特徴です。産卵管を茎に刺して産卵し、幼虫は主に若葉を好んで食べ、短期間で太い葉脈だけを残して食い尽くします。蕾や花を食べることもあります。

発生時期:4〜11月

ミノムシ

垂れ下がった糸の先にミノをぶら下げる習性があります。小型で小枝製のミノは「チャミノガ」、大型で葉製のミノは「オオミノガ」という蛾の仲間です。羽化までミノをまとい、雑食性が高く枝葉・樹皮などを食害します。

発生時期:チャミノガ 7月〜11月
     オオミノガ 6月〜11月

葉がかすり状になる

アザミウマ

花の害虫として知られますが、葉や実も食害します。葉が被害を受けると白色や褐色のかすり状斑点が生じ、新芽の変形も起こります。花もかすり状になったりしみが出たりします。症状が進むと生育が悪化し、観賞価値も低下します。

発生時期:4月〜10月

グンバイムシ

平たい小型の虫で、成虫・幼虫ともに葉裏に寄生して樹液を吸います。葉緑素が失われて白いかすり状の斑が生じ、被害が拡大すると葉全体が白化して枯れ落ち、生育が悪化します。葉裏にヤニ状の黒い排泄物が付着します。

発生時期:4〜11月

コナジラミ

葉裏に寄生して汁を吸うため葉緑素が抜け、白いかすり状になります。発生量が多く被害が進行すると枯死することもあります。間接的被害として排泄物上にすす病が発生し、葉や実が急速に黒化します。

発生時期:4月〜10月

ハダニ

葉裏に寄生して汁液を吸い養分を得ます。葉にかすり状の小斑点が生じ、次第に全体に広がり、多発するとクモの巣状になります。株全体に寄生すると葉が褐色がかって生気を失い、落葉が進みます。ひどい場合は枯死します。

発生時期:5月〜11月

ヨトウムシ(夜盗虫)

夜間に植物を食害することからこの名が付きました。黄緑色の小さな幼虫は葉裏から表皮を残して食害するため葉に白い斑点が生じ、かすり状になります。褐色〜黒褐色の成長した幼虫は葉を穴だらけにして食い荒らします。

発生時期:幼虫は5〜6月、9〜11月

葉が黄変する

アカダニ

繁殖力が高く、葉裏に住みついて栄養を吸い取ります。吸害された部分は初期に葉緑素が失われて白化し、やがて範囲が広がって白い斑点状になります。松柏類が侵されると葉が黄色く変色してしまいます。

発生時期:3月〜10月

葉裏に小さな虫が付く

アブラムシ

害虫の中でも特によく見られ、種類が非常に多く、形・体色・習性など様々です。新梢や新葉に群がって樹液を吸収します。寄生されると生育不良・葉の縮れ・巻葉などが生じるほか、排泄物によりすす病が発生することもあります。

発生時期:3月〜12月

葉が巻く

ハマキムシ

葉をくるくると丸めて内部に潜む習性があります。丸めた葉の中に潜んで成長しながら、葉・つぼみ・芽・実などを食害します。初期は葉の表面が所々白く透ける程度ですが、被害が拡大すると樹勢が衰えます。

発生時期:4〜11月(※被害部内で越冬し、冬の暖かい日も食害を続けます)

幹や枝に症状が現れる
貝殻状のものが付着する

カイガラムシ

種類が非常に多く、体形や習性も様々です。植物に寄生して幹・枝・葉の汁を吸うため生育が悪化し、被害が激しい場合は株や枝が枯れます。排泄物によりすす病が発生すると、観賞価値が著しく低下します。

発生時期:4月〜11月

幹や枝に穴があく

カミキリムシ

成虫は若い枝の皮を食害しながら、株元近くの樹皮下に産卵します。幼虫は最初は樹皮下を食害しますが、やがて樹の内部に侵入して縦穴を掘りながら食害し樹を弱らせます。成虫が脱出する際に1cm大の穴が開き、観賞価値が低下します。

発生時期:5月〜11月

キクイムシ

成虫・幼虫ともに幹や枝に小穴を開けて侵入し、穴の中で腐朽菌を培養して産卵します。幼虫はその菌を食べて成長し、菌が樹内で繁殖するにつれ生育が妨げられます。食害された部分より先の枝は枯れてしまいます。

発生時期:5月〜8月

シンクイムシ

主にメイガ科の幼虫を指す俗称です。小枝・若枝・蕾・芯などを食害し、徐々に植物の深部へ侵入して食い荒らします。樹が元気でも枝先が垂れてきたら発生の恐れがあります。穴が開き、フンやヤニが出て被害部分は枯れたり腐ったりします。

発生時期:4月〜11月

ワタムシ

アブラムシ科に属し、全身が白い綿状のもので覆われています。小枝の分岐部・幹や枝の切り口・新梢・根部などに群がって汁を吸います。被害部分には突起(虫こぶ)が生じ、養水分の循環が悪化します。

発生時期:6月〜7月

根に症状が現れる
小さなコブが形成される

センチュウ

植物に寄生して害を与えるものを「植物寄生性センチュウ」と呼びます。多くは土中に生息し、根腐れを引き起こす「ネグサレセンチュウ」と根に小さなコブを作る「ネコブセンチュウ」の被害が広く知られています。

発生時期:3月〜11月

鉢の中に潜んで害を与える

アリ

虫の死骸を好む黒いアリ(雑食性)と、アブラムシが分泌する蜜を好む茶色っぽいアリ(吸蜜性)がいます。吸蜜性のアリは鉢の中に巣を作り、株元や根にアブラムシを養うことで直接・間接的に被害をもたらします。

発生時期:6月〜11月

ナメクジ・カタツムリ

移動時に粘液を分泌するため、這った跡が白く光る筋として残ります。日中は日陰や石・鉢の下に潜み、夜行性で夜間に葉や花弁を食害します。寄生虫を宿している場合があるため、素手で触れないようにしてください。

発生時期:3月〜11月 

ダンゴムシ

落ち葉などを分解する益虫的な面もありますが、鉢底の穴から侵入して葉・茎・花弁なども食害します。湿気のある土や枯葉が積もった環境では大量発生することもあります。

発生時期:5月〜10月

ミミズ

ミミズのいる土は良い土とも言われますが、鉢内では糞が崩れて団粒化し、通水性・排水性が低下する原因となります。鉢内への侵入を防ぐよう管理することをお勧めします。

発生時期:5月〜7月・9月〜10月

樹種別 病害虫とその対策

松柏類

他の樹種と比べて病害虫の発生は少なく、被害も軽微とされています。
大きな被害を受けることは少ないですが、それでも稀に病害虫が発生することがあります。

樹の性質や管理状態によって樹勢が低下している樹は被害が大きくなりがちです。観賞価値を守るためにも、日頃の管理に注意を払ってください。

主な病気

赤枯れ病
赤枯れ病

被害部分は早めに除去し、焼却処分してください。
マンネブ水和剤の散布により防除します。

赤星病
赤みがかった小斑点が生じ、次第に盛り上がって粉状の病斑を形成します。症状が進むと葉が枯れ、多湿時には病斑からオレンジ色〜茶褐色の塊が生じ、雨で水分を含むとゼリー状になります。

早春にオーソサイド水和剤・マンネブダイセンM水和剤などを散布し、冬期には石灰硫黄合剤などを散布して防除します。

すす葉枯れ病(褐斑葉枯れ病) 

赤松・黒松・五葉松に多く見られ、葉の中央部から先が褐色になり、次第に灰褐色になって枯れていきます。すぐに落葉はしませんが、湿度の高い6月頃から症状が明確になります。
発生したら患部の葉を除去し、焼却処分します。

日当たりと排水を良好に保ち、石灰硫黄合剤・マンネブ水和剤・キノンドール水和剤などを散布して防除します。発生初期から1〜2ヶ月に1回程度の散布を心がけましょう。

葉ふるい病 

葉に淡褐色の病斑が生じ、症状が進むと落葉が激しくなるのが特徴です。赤松・黒松など樹勢の低下した樹がかかりやすく、楕円形で中央に割れ目のある黒い菌が原因です。

発生したら症状のある葉を除去し、焼却処分します。

生育環境を整え、高温多湿の時期には石灰硫黄合剤・マンネブ水和剤・キノンドール水和剤などを散布して防除します。

紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)

スギ・ヒノキなどによく見られ、アカマツ・クロマツにも発生します。根がカビに侵されて網目状に広がり、症状が進むと根が腐敗します。

防除には土壌消毒を行うことが最も有効な手段です。

主な害虫



雑木類

病気の発生は比較的少ないものの、葉を食害する害虫が付きやすい傾向があります。

落葉樹が多く、夏の緑・秋の紅葉など四季の変化を楽しめるのが雑木類の魅力ですので、葉を食害されると観賞価値が大幅に低下してしまいます。

病気が少ないとはいえ、害虫が引き金となって病気が発生することもありますので、注意が必要です。

主な病気

うどんこ病  

初期段階では葉の表面に白いカビ状のものが生じ、やがて葉全体へと広がっていきます。

梅雨の多雨時期に発生しやすく、雨が続くと薬剤散布ができず被害が拡大することがあります。
晴天を見計らい、ダイセンや石灰硫黄合剤などを散布してください。

根腐病

根が腐敗する病気です。植物の根や地下部の茎に病原菌が寄生し、寄生した部分が褐色に変色して腐ってしまいます。そのため植物の生育が悪化し、葉が黄化したり立ち枯れたりします。根はもろくなって抜けやすくなります。

症状が進行すると、株全体が枯死してしまいます。
オーソサイド水和剤やベンレート水和剤などを散布して対処します。

主な害虫

花物類

他の樹種と比べ、病害虫への注意が特に必要です。
開花期が最高の鑑賞時期となりますが、樹形や枝ぶりも大切ですので、病害虫の予防・早期発見と適切な対策を心がけましょう。

病害虫によって花の観賞価値が損なわれるだけでなく、樹が枯死しないよう、適切な培養管理と防除薬剤の散布を徹底してください。

主な病気

赤星病

葉の表にオレンジ色の斑点が現れ、葉裏には毛羽立った丸い病斑が生じます。やがて黄変・縮みが起きて落葉します。症状が進むと大量に落葉して生育が悪化します。実物類では幼果に発生し、実が落ちることもあります。

初春にオーソサイドやマンネブダイセンなどを、冬期には石灰硫黄合剤などを散布して防除します。

褐斑病

おおむね秋から冬にかけて、淡褐色の小さな斑点が所々に現れます。症状が進むにつれて斑点が拡大し、黒褐色の輪紋状の模様となり、やがて小さな黒い粒状や綿毛状の胞子の塊が生じます。発症部分は徐々に黄変して落葉し、最終的に全体が枯れてしまいます。

ダイセン、マンネブダイセン水和剤、石灰硫黄合剤などを散布します。

こうやく病

幹や枝にカビの菌糸が膏薬を塗ったように広がります。斑の色は黒褐色・茶色・灰色など様々で、多発すると樹勢が著しく衰えます。この病気の発生はカイガラムシの寄生を示すサインでもあります。
防除には、冬の間に石灰硫黄合剤を丁寧に散布するようにしましょう。

根頭癌腫病

根の傷口から感染し、根にコブを形成します。次第に地上部の生育も悪化し、養分の吸収が困難になって徐々に衰弱し、ひどい場合は枯死してしまいます。
チョウジュバイ、ウメ、ボケ、バラなどのバラ科樹種によく見られます。

病原菌が土中で生存しているため、被害部分を深めに切り取って焼却します。切り口には石灰硫黄合剤を塗布してから植え付けるようにします。

用土を入れ替え、被害が深刻な場合は樹自体を焼却処分します。
予防としてバクテローズを散布します。

縮葉病(しゅくようびょう)

主に葉に発症しますが、稀に花や新梢にも生じます。葉に黄色や赤色の火ぶくれ状の病斑が現れ、次第に全体が膨れ上がって奇形化します。やがて被害部分が黒色に変色して落葉します。葉の奇形化は、病原菌が植物成長ホルモンを分泌して生育異常を引き起こすためです。

被害部分は葉ごと摘み取り、焼却処分するようにしましょう。

発症後は開花しなくなる場合もありますので、開花前にオーソサイド・石灰硫黄合剤・ダイセン・ベンレートなどを散布して予防します。

せん孔性細菌病

葉・枝・果実に発生します。初期段階では葉脈に沿って1〜2mmの褐色でわずかにへこんだ病斑が生じ、最終的に病斑部が脱落してせん孔状になります。

多発すると葉が黄変して早期に落葉し、樹勢も低下します。

ストレプトマイシンなどの抗生物質系薬剤を散布します。

炭疽病
初期段階では、葉・茎・枝に褐色や灰色の粒状の斑点が生じます。病斑部と健全部の境界は明瞭です。

次第に斑点が葉全体へと広がり、中心部が破れやすくなって小さな穴が生じ、最終的に枯死してしまいます。実の場合は黒いすす状の斑点が全体に広がります。

ダコニールやトリフミンなどを散布します。

根腐れ病

根が腐敗する病気です。植物の根や地下部の茎に病原菌が寄生し、寄生した部分が褐色に変色して腐ってしまいます。そのため植物の生育が悪化し、葉が黄化したり立ち枯れたりします。根はもろくなって抜けやすくなります。

症状が進行すると、株全体が枯死してしまいます。
オーソサイドやベンレートなどを散布します。

灰色かび病

葉や花芽に淡褐色の不規則な斑点が生じ、やがて花弁・茎・葉が溶けるように腐敗し、灰色のカビに覆われます。梅雨時期など湿度の高い季節に特に発生しやすいです。

被害部分を取り除き、花がらも見つけ次第摘み取ります。

ダコニールやベニカXファインスプレーなどを散布します。

花腐れ菌核病

花や茎に発生します。初期段階では花弁の基部が侵されて灰褐色となります。症状が
進むと花弁全体、次いで茎が侵され、上から下へと病斑が拡大し、ひどくなると枯死してしまいます。花弁基部の内部や茎の表皮と木質部の間に黒っぽい豆粒ほどの菌核を形成します。

被害が生じた部分は取り除いて処分します。

トップジン・ベンレート・マンネブダイセンなどを開花前に散布するようにしましょう。

もち病
葉・芽・花が異常に膨れて目立つようになります。観賞上見苦しいだけでなく、発症部分は最終的に干からびてしぼみ、黒褐色に枯れてしまいます。多発すると株全体が生育不良となり、翌年の開花にも悪影響を及ぼします。

発病部分を早期に取り除き、土中に埋めるかゴミとして処分することを1〜2年徹底すれば、発生がほぼなくなります。

被害部分を除去した上で、Zボルドー・ダコニール・オーソサイドなどを散布します。

主な害虫



実物類

花物類と同様に、病害虫への注意が必要です。

開花期・結実期が最高の鑑賞時期となりますので、病害虫の予防・早期発見と対策を徹底しましょう。

実物類は害虫が付きやすく、病害虫によって鑑賞価値が損なわれないよう、適切な培養管理と防除薬剤の散布を心がけましょう。

主な病気

赤星病
葉の表にオレンジ色の斑点が現れ、葉裏には毛羽立った丸い病斑が生じます。やがて黄変・縮みが起きて落葉します。症状が進むと大量に落葉して生育が悪化します。実物類では幼果に発生し、実が落ちることもあります。

ナシ・リンゴ・カリン・ビワなどに寄生します。

初春にオーソサイドやマンネブダイセンなどを散布し、冬期には石灰硫黄合剤などを散布して防除します。

うどんこ病  

初期段階では葉の表面に白いカビ状のものが生じ、やがて葉全体に広がります。葉面が覆われると光合成が妨げられ、栄養不足による生育不良や枯死につながることもあります。

梅雨の多雨時期に発生しやすく、雨が続くと薬剤散布ができず被害が拡大することがあります。

晴天を見計らい、ダイセンや石灰硫黄合剤などを散布してください。

根頭癌腫病

根の傷口から感染し、根にコブを形成します。次第に地上部の生育も悪化し、養分の吸収が困難になって徐々に衰弱し、ひどい場合は枯死してしまいます。

病原菌が土中で生存しているため、被害部分を深めに切り取って焼却します。切り口には石灰硫黄合剤を塗布してから植え付けるようにします。

用土を入れ替え、被害が深刻な場合は樹自体を焼却処分します。
バクテローズを散布します。

主な害虫一覧



病害虫が発生しやすい樹種・しにくい樹種

盆栽においても、病害虫に侵されやすい樹種や、一度侵されると回復しにくい樹種があります。

一方、病害虫が付きにくい樹種や、付いても被害が軽微で済む樹種もあります。

病害虫が発生しやすい樹種

病害虫が発生しやすい樹種は花物類・実物類で、ウメ・サクラ・ザクロ・フジ・サンザシなどが代表的です。                                
葉物類は枝葉を中心に鑑賞するため、病害虫による被害が目立ちやすく、食害が進むと致命的なダメージになります。                      

これらは一旦病害虫に侵されると回復が難しく、あっという間に枯死する場合もありますので、適切な培養管理を心がけ、盆栽をよく観察するようにしましょう。

病害虫が発生しにくい樹種

前述のとおり、松柏類は樹が丈夫で樹勢も強く、比較的病害虫が付きにくいとされています。

雑木類のカエデやイチョウなどは、病害虫に侵されても回復力が高く、甚大な被害で枯死するようなことはほとんどありません。

病害虫が付きにくいとはいえ、湿気の多い梅雨時期や新芽の出る頃は病気や害虫が発生しやすいので、注意するようにしてください。

盆栽に発生しやすい病害虫まとめ

盆栽の病害虫被害は、病気よりも害虫によるものが圧倒的に多く、最も多いのはアブラムシとカイガラムシです。

アブラムシは樹種を問わず発生しやすく繁殖力も旺盛で、成長して翅が生えると他の樹へ移動することもあります。

アブラムシは比較的薬剤が効きやすいですが、カイガラムシは硬い殻で覆われているため薬剤が効きにくく、見つけ次第捕殺するのが最も有効な対処法です。

ハマキムシやシンクイムシも新芽の時期から晩秋にかけて繁殖しやすく、松柏類・雑木類に寄生するワタムシもよく見られます。

ワタムシは初春に産卵して梅雨時期に大量発生し、樹を枯らすこともあります。綿状のもので覆われているため薬剤が効きにくく、散布後にピンセットで丁寧に駆除するようにします。

ハダニもマツやウメなどに付くことが多く、大量発生すると葉の色が変色したり枯れたりすることがあります。薬剤への耐性が生じやすいため、使用する場合はローテーションを心がけます。

毛虫は雑木類・花物類・実物類などに付き、葉を食害して瞬く間に食い尽くすこともあります。孵化直後は集団でいることが多くまとめて処分できます。成長すると薬剤耐性が付きやすいので、発見次第ピンセットや割り箸で取り除いて駆除しましょう。

鉢底に潜み夜間に活動して新芽を素早く食害するナメクジにも注意が必要です。

花物類・実物類に付きやすいグンバイムシやテッポウムシ・コガネムシなどは見過ごしやすく、発見時にはすでに被害が進んでいる場合が多いので注意しましょう。

コガネムシは盆栽の鉢内に産卵し、幼虫期には根を食害し、成虫になると花弁や蕾を食害します。

カミキリムシの幼虫であるテッポウムシは幹の内部に潜んで食害し、幹に穴を開けます。グンバイムシは葉の裏に寄生して吸汁するため、初期段階では発見しにくいことがあります。

盆栽が病害虫に侵されやすい最大の原因は、置き場所と培養管理の問題です。
また、病害虫の防除・駆除のために、適切な薬剤を適切な時期に散布することも重要です。

ここでも病害虫対策としてスミオチン乳剤・マラソン乳剤などの薬剤を取り上げましたが、薬剤やその他の対策については『病害虫の対策について』で詳細をご覧ください。

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