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はじめての盆栽水やり完全ガイド。基本をしっかりマスターしよう

初心者が盆栽を枯らす原因の95%は水やりにあります。必ず身につけたい正しい水やりの方法を解説します。
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/8/25
  • 投稿日:2022/8/25
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はじめての盆栽水やり完全ガイド。基本をしっかりマスターしよう 盆栽が難しい趣味と言われる最大の理由は、日々の管理、とりわけ水やりにあります。誤った水やりで盆栽を枯らしてしまい、途中で諦めてしまう方も少なくありません。しかし、正しいやり方を知れば、水やりは決して難しいものではありません。基本をしっかり身につけて、盆栽管理の第一歩を踏み出しましょう。このガイドで順を追って解説します。

目次

  • 章 水やり(灌水)について
  • 章 水やりの目的
  • 章 水やりのタイミング
  • 章 水やりは樹の生育を観察する絶好の機会
  • 章 季節ごとの水やり
    節 1.春
    節 2.夏
    節 3.秋
    節 4.冬
    節 5. 梅雨時
  • 章 水やりの方法
  • 章 水やりの道具
    節 1. ジョウロ
    節 2. ホース
    節 3. 噴霧器・霧吹き・ハンドスプレー
    節 4. 自動灌水
  • 章 不在時の水やりについて
    節 1. 自動潅水装置を使う
    節 2. 簡易的な自動水やり器具を活用する
    節 3. 水を吸い上げる鉢
    節 4. 底面給水
  • 章 水切れが起きてしまった場合
  • 章 水やりに使う水について
  • 章 まとめ

水やり(灌水)について

山野に自生する植物や庭木は、水を求めて根を土中に広く張り巡らせます。鉢の中で育つ盆栽は、人の手で水を補給してあげることが欠かせません。
盆栽の鉢は、草花や野菜・観葉植物のコンテナと比べてもとても小さく、入っている土の量もわずかです。鉢内の土は乾きやすく、こまめな水やりが必要です。乾燥しすぎても、水を与えすぎても枯れてしまいます。

水やりは盆栽の生死に直結する作業です。盆栽が枯れる原因のほとんどは水やりの失敗と言われるほど、毎日の水やりは管理の根幹をなします。まず「水やりが最も大切な作業」と心に刻んでおきましょう。

盆栽が枯れる主な原因

1. 水切れによる場合

2. 水のやりすぎによる場合

水やりの意味


樹にとって水は生命の源です。高等植物(根・茎・葉の三器官に分化した植物:種子植物・シダ植物など)の体内水分量は約80〜90%と言われており、植物のほとんどは水でできています。

わかりやすい例として、生食用の果実があります。ミカン・モモ・リンゴ・バナナなどを比べると、それぞれ水分量が異なることが感じられます。水分が少しでも失われると生命活動の維持が困難になり、萎れたり枯れたりしてしまいます。

植物の葉・茎・花などを上半身とすれば、根は下半身にあたります。根の役割は体を支えるだけでなく、体内の水分を吸い上げるという重要な働きも担っています。

植物は地中の水分を根から吸い上げ、幹や茎の中の管を通して上へと運びます。葉に届いた水は葉脈を潤し、最終的に蒸散(葉からの蒸発)として放出されます。

また、水は光合成にも欠かせません。太陽光をエネルギー源として、根から吸い上げた水と二酸化炭素から炭水化物(糖・でんぷん)と酸素が生成されます。作られた栄養分は茎の師管を通って根まで届き、植物全体に行き渡ります。

水は植物の体をめぐりながら栄養を運び、循環しています。日照量が多いほど光合成が活発になり、新陳代謝も高まります。気温が高い日に多くの水分が必要なのは、乾燥だけでなく蒸散量の増加によるものです。

植物の体のほとんどは水でできている

水がなければ生きていけない

光合成には水と光が重要ですが、もう一つ大切なのが風です。大気中の二酸化炭素は0.03〜0.04%ほどしかなく、500mlペットボトルに換算するとわずか水1滴分程度です。

この微量な二酸化炭素を葉に供給するには、適度な風が不可欠です。また、蒸散においても風がないと葉周辺に水蒸気が滞り、カビや病気の原因になります。

※詳細は盆栽の置き場所についてのページをご覧ください。

理科の授業のようになりましたが、光合成の仕組みを知ることで盆栽を枯らさずに済む場合があります。これから盆栽を育てる方は、ぜひ頭の片隅に留めておいてください。

水やりの目的

植物に水が必要な理由はご理解いただけたかと思います。盆栽における水やりの最大の目的は、限られた鉢の中でのみ水を補っている盆栽の樹が、水不足にならないようにすることです。

水は植物の体をめぐりながら栄養を運ぶため、水やりは鉢内の土を湿らせるためだけでなく、根の健全な生育を促すことが本来の目的です。

根に欠かせない3要素は「空気」「水」「養分」です。特に空気が不足すると根が酸素欠乏に陥り、根腐れを引き起こします。

水やりによって鉢内の古い空気が押し出され、新鮮な空気が水とともに鉢内に入り込みます。これにより根が新しい空気を取り込むことができます。

根が健康であってこそ、葉・茎・幹などの地上部が生き生きとし、盆栽全体の生育が向上します。

水やりのタイミング

1. 水やり前の状態

2. 水やり後の状態

水やりの基本は、土の表面が乾いてきたら鉢底から少し水が流れ出るくらいまでたっぷり与えることです。この点は一般的な鉢植えと同じですが、盆栽は浅くて小さな鉢に少量の土しか入っていないため、乾くサイクルが格段に早いのが大きな違いです。
また、ある程度の経験がなければ土の乾き具合を判断するのが難しい場合もあります。化粧砂が敷かれていると、さらに乾き具合がわかりにくくなります。

季節や天候によって土の乾き方は異なります。鉢土を指で触って乾き具合を確認してから水やりをしましょう。毎日観察を続けることで、触らなくてもタイミングがつかめるようになります。

「乾いたら与える」の基準は人によって異なります。判断を誤ると完全に乾ききって枯れてしまうこともあるため、注意が必要です。

水やり前後の土の状態を比べてみると、違いがよくわかります。前後の変化をしっかり観察しておきましょう。

写真①水やり前と②水やり後を見比べてみてください。

①は土・化粧砂が乾いてさらさらしており、触っても表面や土中が湿っていない状態です。これが水やりのタイミングです。

②は土や化粧砂の色が濃くなり、表面と土中を指で触ると湿っています。

⇒土や化粧砂・苔などは乾くと白っぽく色が薄くなるため、乾燥の目安になります。表面が乾いていても土中が湿っている場合もあるので注意してください。

土が乾いてから水やりをする

土中が湿った状態では水やりをしない

水分不足のサイン!!!

土が乾いて白っぽくなる

葉のある樹は葉に生気がなくなってくる

鉢内に生えているコケが色あせて白っぽくなる

鉢内に生えている草がしおれてくる

指で土を押したときに弾力がなくなっている

水を与えすぎて常に土中が湿った状態が続くと、根が酸素不足になり根腐れを起こします。葉や根が変色し、株が衰えて枯れてしまいます。土の表面が乾いてから水やりをするのは、根を健全に育てるためでもあります。ただし、土中がからからになるまで待つ必要はありませんので、程度を見極めましょう。

②の水やり後の写真を見ると、鉢から水が滲み出て、鉢を置いた台も湿っているのがわかります。これが「たっぷり与える」ということです。

受け皿の上に置いている場合は、受け皿に水がしみ出すまで水やりをし、たまった水は必ず捨ててください。残しておくと根腐れの原因になります。

注意!!

盆栽の鉢は長方形・正方形・丸・楕円など様々な形があります。決まった角度や方向だけで水やりをすると、根元まで水が行き渡らないことがあります。鉢の形に合わせて、土の表面全体に水が届くよう心がけてください。

季節ごとの水やりの目安

盆栽の水やりは、樹種・樹齢・樹の大小・鉢の状態・用土の配合・季節・地域・気象条件・置き場所など、さまざまな条件によって異なります。同じ樹種でも葉の数や大きさ、日光や風の当たり方で変わってきますので、水やりの方法も柔軟に対応することが大切です。

様々な条件によって異なりますが、季節ごとの1日の水やり回数の目安は以下のとおりです。

春(新芽の芽吹き〜梅雨入りまで):1日1回

夏(梅雨明け〜最高気温が28度を下回る頃まで):1日2回

秋(最高気温が27度以下〜落葉まで):1日1回

冬(落葉後の休眠期):2日に1回

以上を参考にしてください。植物にストレスをかけないよう、できるだけ決まった時間に水やりをするようにしましょう。

まずは上記の回数を基本として、水やり時に盆栽をよく観察し、個々の盆栽の微妙な差を把握しましょう。観察を続けることで、ご自身にとってのベストなタイミングが自然とつかめてきます。

水やりの際に観察することで、生育状況の確認・害虫チェック・草取り・施肥や針金外しのタイミングなど、管理全般の最適な時期を把握することができます。

水やりの目安をご紹介しましたが、仕事や諸事情で在宅時間が少ない方もいらっしゃるかと思います。水やりを忘れたり、一度に大量の水を与えてしまったりして枯らしてしまった経験がある方もいるかもしれません。

そのような方は、上記を目安にしつつ、ご自身の生活サイクルに合わせた頻度・時間で水やりをするようにしてください。   

季節ごとの水やり

水やりは樹の生育を観察する絶好の機会

春

新芽が伸び始める時期です。栄養分と水分を特に必要とするため、乾燥しないよう気を配り、1日1回を目安に水やりをします。

ただし、春の強風の日は乾きやすくなるため、様子を見て1日2回ほど必要になることもあります。開花の時期でもありますので、花にかからないよう樹全体に水をかけてください。

水を与えすぎると葉が育ちすぎたり、新芽が伸びすぎたり、水切れへの抵抗力が低下したりするため注意が必要です。

夏

夏は強い日差しと高温により葉からの蒸散が激しく、乾燥しがちです。午前中の水やりだけでは土がすぐ乾いてしまうことも多いため、1日2〜3回を目安に、鉢穴から水が滴るくらいたっぷり与えてください。

夏の昼間の水やりは、蒸れや根傷み、葉焼けの原因になります。水がお湯のように温まったり、葉についた水滴がレンズ効果を生じたりすることがあるため、時間帯に注意しましょう。

夕方から夜にかけての水やりは鉢内を冷やす効果があります。特に夕方の葉水は葉の温度を下げ、汚れやほこりを取り除き、葉に生気と美しさをもたらします。

十分に水やりができない場合は、鉢を西日の当たらない場所に移して乾燥による害を防ぎましょう。

秋

春に次いで植物が育ちやすい時期です。ただし、春が徐々に暖かくなるのに対し、秋は日ごとに気温が下がっていきます。

秋になると夏に比べて土の乾きが遅くなり、水分の必要量も減ります。土が乾いたら水やりをする程度で十分ですので、頻度を落とし、1回あたりの水量をたっぷり与えることを意識してください。

秋から冬へと生育が緩やかになりますので、状態をよく見ながら水やりしてください。

冬

冬は多くの樹種で生育が遅くなり、根が水を吸う力も弱まります。落葉している樹種は萎れや枯れの症状が現れにくいため、水やりを怠りがちになります。

この時期に水を切らすと春の芽出しに影響が出ます。空気が乾燥し、雨が少なく風が強い気候では早く乾いてしまうこともあるため、十分に気を配ってください。鉢内が完全に乾ききらない程度に少なめに与えます。冬の水やりは暖かい日の午前中に行い、夜には余分な水が抜けているようにします。

気温が下がる時間帯の水やりは鉢内が凍る恐れがあるため避けましょう。保護室(ムロ)内では表土が湿っていても鉢内が乾いていることがあります。冬の盆栽は「寒さより乾燥に気をつけよ」と言われるほど、乾燥対策が重要です。

梅雨どきの水やり

盆栽の水やりで最も注意が必要な季節は梅雨です。空中湿度が高いため過湿が心配されますが、実は水切れのほうが深刻な問題となりやすいのです。

梅雨の時期は雨がしとしと続き、表土も湿っているため水やりは不要と思いがちです。しかし小雨程度では水分補給として不十分で、土の中は意外と乾いていることがあります。

葉が茂っていると、雨水が鉢の外に流れ落ちて根元まで届かないことがあります。土中の状態をこまめに確認し、必要に応じて補水しましょう。梅雨時は鉢土の乾き具合の判断が難しいですが、外出時に急に晴れることもあるため、普段通りの水やりを欠かさないようにしてください。

上記は梅雨に限らず、雨の日の水やりの参考にもなります。雨が続く場合は過湿に注意し、鉢底の片側を少し持ち上げて傾けておくと排水がスムーズになります。

塩害から盆栽を守るために

海沿いや海の近くにお住まいの方は、潮風による塩害が心配されます。葉水をたっぷりかけることで塩分を洗い流し、塩害を防ぐことができます。台風通過後は海から離れた地域でも塩害の恐れがあるため、台風が収まったら同様に葉水をしっかりかけておきましょう。

水やりの正しい方法


水やりはジョウロで上から全体にたっぷりと行います。上からかけることで葉水の効果も得られ、ダニの予防や葉の汚れ落としにもなります(※夏場の強い日差しの下での葉水は葉焼けの原因になるため注意してください)。

盆栽の周囲からゆっくり水を与えると、やりこぼしが少なくなります。最初の水やりで土を湿らせて水が浸透しやすい状態を作り、乾かないうちにたっぷりと返し水をします。一度目の水やりはコーヒーの蒸らしと同じ役割で、水が土にしっかり吸収されやすくなります。

根元にもたっぷり水を与えたら、全体にかけた後でもう一度盆栽の状態を確認する習慣をつけましょう。まだ足りないと感じたら「追い水」を行いましょう。

すべての盆栽に水やりをした後、特に乾燥しやすい鉢に対して水を補うことを「拾い水」といいます。

追い水・返し水・拾い水はいずれも、盆栽の状態をよく観察しながら「この樹は水が足りないかも」「土がまだ乾いている部分があるな」「すぐ乾燥してしまうな」と考えて行うものです。植物への思いやりに通じる大切な手法ですので、ぜひ実践してみてください。

与えた水はすぐに全体へ浸透するわけではなく、実際にはかなりの時間をかけて行き渡ります。水やり後は鉢底から水が出ていることを確認しましょう。受け皿は置き場所を汚さないためのものなので、水が溜まったらこまめに捨てるようにしましょう。

水やりに使う道具

1.ジョウロ


盆栽の水やりに最適なのは、はす口付きのジョウロです。先端のはす口は穴が細かいほど水の勢いが穏やかになり、繊細な盆栽に適しています。

水が柔らかく当たれば、鉢土の跳ね上がりを防げます。穴が細かいと水垢や汚れで詰まりやすいですが、はす口だけ取り外して洗えるタイプや、こし網付きのものも市販されています。

ホームセンターや園芸店で売られている一般的な園芸用ジョウロははす口の穴が粗いため、盆栽専用のジョウロを使用することをおすすめします。

左上から時計回りに銅製・真鍮製・プラスチック製・ステンレス製など

はす口付きジョウロの中でも、銅板製のものが特におすすめです。銅製は殺菌作用があり(※水を入れっぱなしにしないこと)、常に清潔な水を盆栽に与えることができます。

水に溶け出す銅イオンの効果で、盆栽の苔の生育も促進されると言われています。また銅製ジョウロは使い込むほどに独特の風合いと渋みが増し、経年変化を楽しめます。

竿の部分が長いため水圧をコントロールしやすく、離れた場所の鉢にも水をかけやすいというメリットがあります。
盆栽専用の銅製ジョウロは長く使えますが高価なものが多いため、一般的には鉄製・トタン製・ブリキ製のものが広く使われています。

その他、真鍮製・ステンレス製・プラスチック製などがあります。いずれもはす口の穴目が細かいものを選ぶとよいでしょう。鉄製は適切に管理すれば6〜7年使用できます。真鍮製は独特の光沢があり、使い込むほどに味わい深い風合いに変化します。

ステンレス製は比較的軽く錆びにくいのが特長です。プラスチック製は低価格で錆の心配がありませんが、屋外での使用では日光や寒さにより劣化しやすい傾向があります。

はす口には平たい「直口」、斜めの「斜口」など穴の数や形が異なるものがあり、微調整が可能です。直口は水がまっすぐ強めに出て、斜口は散水面積が広く水が柔らかく出ます。

ジョウロの容量は1リットル前後から9リットル程度まであります。鉢の数や盆栽の大きさ、扱いやすさを考慮して選びますが、5〜6リットル程度のものが管理しやすくおすすめです。

盆栽の数・大きさ・高さ・樹種・枝葉の付き方・置き場所・使用者の身長などを考慮して、最適なものを選びましょう。

2.ホース



ホースで水やりをする場合は、盆栽の水やりに適したノズルが多数市販されていますので、ぜひ活用してみてください。

ノズルにも銅製・真鍮製・ステンレス製・プラスチック製などがありますが、盆栽には銅製や真鍮製がおすすめです。高価ですが穴目が細かく水の勢いが穏やかなため、葉や枝を傷めずに水やりができます。

銅製・真鍮製のノズルには、水の勢いがまっすぐな「輪切り型」と、水が柔らかく広がる「斜め切り型」の2種類があります。

コック付きのものもあり、水の噴出をコックで止めることができます。樹種・鉢の大きさ・気候・盆栽の状態などを見ながら、その時期に最も適したノズルを選ぶとよいでしょう。

3.噴霧器・霧吹き・ハンドスプレーなど



左上から時計回りに噴霧器・ペットボトル取り付け式噴霧器・ハンドスプレー・霧吹きなど

噴霧器を使用する場合は、消毒用とは別に水やり専用のものを使ってください。ホームセンターや園芸店で市販されていますが、盆栽専用の噴霧器を使うと樹に優しく散水できます。

噴霧器での水やりは特に葉水や苔を湿らせるのに適しています。葉水は霧吹きやハンドスプレーでも十分対応できます。

噴霧器・霧吹き・ハンドスプレーだけで水やりをすると、丁寧に行っているつもりでも水の力が弱く根元の芯まで届かず、水切れや土中の空気入れ替え不足の原因になります。

噴霧器を選ぶ際は、盆栽の大きさや鉢の数を考慮して選びましょう。

ジョウロ

はす口付きのもの――穴目が細かいほど水の勢いが穏やか

竿が長いほど水圧が安定する

◎銅製がベストな選択

○鉄製・真鍮製・ステンレス製・プラスチック製など

ノズル付きホース

はす口付きのもの――穴目が細かいほど水の勢いが穏やか

◎銅製・真鍮製がおすすめ

○プラスチック製・ステンレス製

噴霧器
        
霧吹き(特に葉水に最適)

ハンドスプレー

自動灌水について

鉢の数が増えた場合や、外出・諸事情により決まった時間に水やりができない場合は、自動灌水という方法を活用できます。

一般家庭でできる自動灌水

盆栽専用ではありませんが、家庭用の自動潅水システムがネット通販などで販売されています。タイマーを設定することで、決まった時刻に必要な時間だけ自動で水やりができます。

自動散水タイマーを水道の蛇口に取り付け、そこから盆栽鉢や棚へホースを伸ばすことで、設定した時間に散水が始まります。あくまで補助的な使用が目的ですが、留守中や鉢数が多い場合の水やりに大変便利です。

※自動潅水については、不在時の水やりの項目で詳しく説明しています。

鉢数が多い・棚場が広い場合の自動潅水

給水パイプにノズルを取り付けて水やりをします。硬質ビニールパイプやプラスチック製パイプに適切な間隔でノズルを取り付け、水源につないでポンプにタイマーを設定し、必要な時間だけ水やりを行います。

自動灌水を行う場合は、風向きや盆栽の置き方によって灌水ムラが生じやすいため、水が当たりやすい場所と当たりにくい場所に注意しましょう。水の過不足に気をつけ、やりすぎの鉢は場所を移動し、不足している鉢には個別に補水するようにしましょう。

不在時の水やりについて

旅行や出張などで数日間家を空けなければならない場合や、仕事で日中に水やりができない方に向けて、いくつかの対処法をご紹介します。

置き場所を工夫する

日中に水やりができない場合は、半日日陰になる場所で管理します。直射日光や西日は乾燥を促進するため、日の当たる時間を短くすることで乾燥を防ぎます。午前中に光が当たる環境が最適です。

植物は1日2時間程度の光があれば生育できます。1週間程度であれば日陰でも問題ありません。枯らさないためには、気候やご自身のライフスタイルに合わせて置き場所を調整しましょう。

水苔で乾燥を防ぐ


日光を浴びると鉢の表土が乾きやすくなります。置き場所で日照時間を調整できない場合は、表土が直接日光に当たらないよう工夫します。表土の乾燥防止には水苔の使用が効果的です。

水苔は保水性が高く、植物の乾燥防止に広く使われています。乾燥した状態で園芸店にて販売されているため、使用前に水に浸してしっかり吸水させてから使いましょう。

自動潅水装置を使用する


周囲に盆栽を預けられる方がいる場合は別として、自動給水装置を利用する方法があります。タイマーで設定した時間に自動で水を与えてくれるため安心です。

家庭用であれば5,000円〜20,000円程度で販売されています。設置に多少手間がかかりますが、説明書を読みながら20〜30分程度で設置できます。

蛇口に直接取り付けるタイプ、ホースに取り付けるタイプ、灌水時間の設定ができるもの、雨を検知してタイマー予約を自動キャンセルするセンサー付きのものなど様々あります。ご自身の生活サイクルに合った給水装置を選んでみてください。


散水タイプは強風時に灌水ムラが出ることがあるため、鉢に直接挿して使うタイプのほうが確実に水やりできます。チューブの先端を土に挿すと鉢全体に水が広がります。複数本挿すとより効果的です。

簡易的な自動水やり器具を使う



細いチューブ内の水が自然に吸い上がる毛細管現象を利用した装置です。水を入れた容器に給水チューブを入れると、10〜15秒に1滴ずつ水滴が落ちて自動給水されるタイプや、土に埋め込む部分が素焼きやスポンジ状のリボンになっていて適度に水が浸透するタイプなどがあります。

機械式と違ってタイマーは付いていませんが、給水装置や容器の大きさによって給水できる期間が変わるため、不在にする期間や頻度に合わせて活用しましょう。

給水キャップを使用する


ペットボトルに給水キャップを取り付けて土壌に挿して使うタイプもあります。調節弁で給水速度を調整できるものもあります。

タンク付き水やり器具の活用

中型・大型の鉢であれば、2リットルのタンク付き水やり器もあり、最大約20日間にわたって水を供給できます。4色の調節弁で給水量を調整できるタイプもあります。

排水口をペットボトルやタンクに取り付けて使うタイプは、水の蒸発を抑えて効率よく給水できるというメリットがあります。

水を自ら吸い上げる鉢


受け皿に水を張っておくと、鉢が自ら水を吸い上げて植物に適度に水を供給してくれるタイプの鉢もあります。

底面給水

◆腰水


ホームセンターで手に入る園芸用トレー・たらい・バケツ・プランターなどを用意します。管理する盆栽が入る大きさの容器を選びましょう。

盆栽の数が多い場合は容器を複数用意するか、衣装ケースなどで代用してください。盆栽が入って水を張れる容器であれば活用できます。

盆栽の数や大きさに合わせた容器に盆栽を並べます。ぎゅうぎゅうに置くと盆栽が浮いてしまい、きちんと水に浸からないことがあるので注意してください。



トレー・たらい・プランター・衣装ケースなどに鉢を並べ、鉢の3分の1〜4分の1程度の深さまで水を注いで鉢底から吸水させます。2〜3日の不在であれば水切れを防ぐことができます。この方法を「腰水」といいます。

〈腰水をした場合の置き場所〉

夏場は炎天下に置くと水が高温になり、根を傷めたり枯れてしまったりする原因になります。腰水をした場合は涼しい日陰に置くようにしましょう。完全な日陰や暗い場所でも数日程度であれば生育に影響しません。

1週間ほど外出する場合は、鉢の半分から3分の2程度の高さまで水を張った容器に盆栽を入れ、日陰のなるべく涼しい場所に置きましょう。水に日が当たると根を傷め、風通しが悪いと水が腐って根腐れの原因になるので注意が必要です。

緩やかに給水させるには、水を張ったトレーやたらいにブロックを並べ、布をかけて水を吸わせ、その上に鉢を置くと少しずつ吸収していきます。

樹種によって水を多く必要とするものや根腐れを起こしやすいものがあるため、溜める水の量を調整してください。

底面給水トレーを使う



育苗によく使われる底面給水トレーを活用します。トレーに水を張り、水量を調整してその上に盆栽を置くだけで使えます。

トレーの表面には凹凸があり、鉢底の穴を塞ぎません。400円程度から販売されており、サイズのバリエーションも豊富なので鉢の数に合わせて選べます。

自宅にあるもので給水する

自動給水装置を購入する間もなく急に外出が必要になった場合や、外出が稀なため専用器具の購入をためらっている方には、自宅にあるものでできる給水方法もあります。

ビニール袋を活用する

真夏の直射日光の下では水やりができないと確実に水切れして枯れてしまいます。極力乾燥させないよう、鉢の上に水苔または濡らしたティッシュなどを置いてビニール袋で鉢全体を覆いましょう。

ビニール袋で覆った鉢を、日陰(暗くてもOK)の風通しのよい涼しい場所に置きます。これで2〜3日は乾燥を防ぐことができます。

鉢全体を濡れタオルや濡れた新聞紙などで包んでおくと、水分を逃さず一定期間乾燥を抑えることができます。大きな鉢には大きめのタオルを使うとより効果的です。

長期間不在にする場合は、タオルの上からさらにビニール袋で包むとより効果的です。ただし高温の場所に置くとビニール内が蒸れて樹を傷めることがあるので注意してください。

外出先から帰ったら、すぐにたっぷりと水を与えてあげてください。

手作りの水やり器

ペットボトル給水タイプの市販品と同じ仕組みのものを自作することもできます。水を吸える紐やフェルトを紐・棒状にしたものの一方の端を水入りのペットボトルに入れ、もう一方を鉢に埋め込みます。
ペットボトルと鉢をつなぐ素材によって給水量が大きく異なるため、外出前に試してみると目安がわかるでしょう。

小鉢・豆鉢の場合

小さな鉢は土量が少ないため保水力が低く、水切れを起こしやすくなっています。置き場所を工夫して直射日光を避け、日陰に置いて葉からの蒸散を抑え、鉢中が乾かないよう注意しましょう。

〈二重鉢〉


小鉢の盆栽は腰水でも対処できますが、長期間水に浸けると根腐れを起こす場合があります。水をたっぷり与えた土や富士砂を入れた大きな鉢の中に小鉢を入れたり並べたりしておくと、乾燥が緩やかになります。

外出する場合は砂の中に鉢を埋めて日陰に置いておくとさらに安心です。豆鉢は小鉢よりさらに乾きやすいため、十分に水をやった土・砂入りの大きな鉢に鉢ごと埋め込んでしまいましょう。

帰宅後は……

なるべく早く盆栽を水から取り出し、たっぷりと水を与えてください。室内に置いていた場合は、屋外の環境に近い場所に移して少しずつ外の環境に慣れさせましょう。

外出が長期に渡る場合は……

信頼できる盆栽専門店に相談して、盆栽を預かってもらうことをおすすめします。有料で預かりサービスを行っているお店もありますので、購入時や普段から相談しておくと、いざという時に心強いでしょう。

友人・知人・ご近所の方に預ける場合は、水やりや置き場所について記載した耐水性のラベルやプレートを盆栽に挿しておくとわかりやすいです。引き取りの際には手土産を持参すると、会話も弾むかもしれません。

鉢が小さく持ち運びできるものであれば、かごやプラスチックバッグなどに入れて外出先に持参するのもひとつの方法です。

車で外出する場合、小さいものはドリンクホルダーに収まるものもありますし、大きめのものはトランクに積んで水やりすることもできます。車内は高温になりやすいため、盆栽を置いたままにする場合は窓を少し開けて換気を忘れずに行ってください。

水切れしてしまった場合


水切れした際に最もやってはいけないことは、慌てて大量の水を一気に与え続けることです。

重症でない限り、まず風通しのよい日陰に移動させて適度に水を与えてみてください。葉が元のようにぴんと張って回復したようであれば、元の場所に戻しましょう。

水切れがやや深刻な場合は、根がかなり傷んでいると考えられ、水を吸収する力が著しく低下しています。根が水を吸わないため表土も乾きにくくなっているはずです。この状態で大量の水を与えると根腐れの原因となり、枯死してしまう可能性もあります。

こういうときこそ慎重な水やりを心がけてください。土の状態をよく観察し、乾き具合に応じて1回の水やり量を調整しましょう。最初は水を少なめにして早く乾くようにし、鉢を傾けて水はけをよくすることも効果的です。

重症の場合は、底面給水の「腰水」を行い、大きめの容器に鉢を入れて鉢の3分の1程度まで水を張り、10分ほど浸けてから2〜3日間日陰に置きます。

以下でご紹介する「ドブ漬け」も、水切れへの対処として効果的な方法です。

水切れしたら

✕慌てて大量の水を一気に与える

○風通しのよい日陰に移動させ、適度に水を与える

○腰水をする

○ドブ漬けをする

ドブ漬け


根が育ち鉢の中の土が固くなってきたら、鉢ごと水に漬けます。鉢より大きな容器いっぱいに水を張り、その中に鉢ごと入れて土全体に水を行き渡らせます。できれば樹の頭まで沈めるのが理想ですが、少なくとも鉢全体が完全に水に浸かるようにしましょう。

水切れの予防として、7月上旬〜8月下旬にかけてこのドブ漬けを行うことをおすすめします。たらいやバケツに水を入れて盆栽を漬けるだけで、鉢からブクブクと空気の泡が出てきます。そのまま1時間程度漬け込むと、水が土や根にしっかり浸透します。

水やりに使う水について

水やりには、できるだけ清潔で中性に近い軟水が適しています。ここで水の中性と軟水について説明しておきましょう。

中性とは……

飲料水を分類する基準のひとつにpH(水素イオン指数)があります。これは水中に水素イオンがどの程度含まれているかを示す数値で、0〜14の範囲で表されます。数値が上がるにつれて酸性度が低くなり、pH1が強酸性、pH14が強アルカリ性、中間のpH7が中性です。一般的に酸性のものは酸っぱく、アルカリ性のものは苦い傾向があります。

軟水とは……

水は硬度によって軟水と硬水に分けられます。硬度とは水1リットルあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量を示すもので、WHO(世界保健機関)の基準では硬度120mg未満が軟水、120mg以上が硬水とされています。

日本の水道水は一般的に軟水とされていますが、硬度は地域によって異なります。東京・千葉・埼玉・沖縄などは比較的硬水が多いと言われています。日本での一般的な分類は下表のとおりです。

区分 硬度

軟水 100mg/L未満

硬水 100mg/L以上

一般的に水道水は中性で軟水のため盆栽の水やりに適していると思われますが、使用する際にはいくつか注意点があります。

水道から出したばかりの冷たい水を盆栽に与えると、樹に負担がかかります。水の温度は気温と同程度のものを使用してください。

また水道水には殺菌作用のある次亜塩素酸カルシウム(カルキ)やミネラル成分が含まれており、盆栽や鉢にカルキやミネラルが白く付着することがあります。苔が変色してしまうこともあるようです。

カルキ入りの水を与えると枯れてしまうのではと心配される方もいますが、日本の水道水は厳しい衛生基準をクリアしており、植物を枯らすほどの薬品量ではありません。

実際、水道水をそのまま繰り返し使用しても枯れないケースが多いと思われます。ただし一定の条件が重なると、植物が枯れる原因の一部になることがあります。

1.植物がある程度の大きさに育ち、根が十分に発達している。

2.育った根の中に老化した根があり、一部が機能低下しているが他の根は元気である。

3.気温が高い日が続いている。


本来植物は天の恵みである雨水で育つものが多いため、雨水が生長に最も適しています。実際、雨水に含まれる成分は植物の栄養になります。

植物が生きていくために必要な栄養分を必須要素といい、17種類あります。中でも重要なのが肥料の三要素と呼ばれる窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)の3種類です。

窒素(N) 葉や茎の生育に欠かせず、植物の体を大きくする

リン酸(P) 開花・結実・全体の生育、枝や根の成長を促進する

カリウム(K) 根や茎を丈夫にし、病気や寒さへの抵抗力を高める

肥料の袋には、これらN・P・Kの比率が明記されています。

雨水は良いことばかりのようですが、地域や季節によっては酸性雨・光化学スモッグ・PM2.5・黄砂などの影響で、雨水中の大気汚染物質濃度が高まる場合もあります。

水道水をそのまま使うのではなく、水瓶やバケツなどに汲み置いた水や、溜めた雨水を使うのが理想的です。1日汲み置きしておけば、カルキや塩素などの成分が自然に抜けるでしょう。

井戸水がアルカリ性に偏っている場合、葉が黄色く変色することがあります。水を汲み置きしておくと、硬水を軟水に近づけるとともに、冷たい井戸水を気温に近い水温に調整することができます。

清潔な水として浄水器の水を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、植物に必要なミネラル成分が除去されている場合もあるため、汲み置きした水が最もおすすめです。

ミネラルウォーターにはマグネシウムやカリウムなど植物に必要な栄養素が含まれていますが、それらを多量に含む硬水が多いです。マグネシウム・カリウム・ナトリウムなどを大量に含む硬水は、浸透圧の関係で植物が栄養を吸収しにくい水となります。

ほとんどの植物は硬水にも対応できますが、植物細胞への浸透を妨げないのは軟水です。カルキや化学物質を除去して水を浄化したい場合は、木炭を入れると水が中性に近づき、酸性雨対策にもなります。

汲み置き水で注意したいのが衛生面です。長期間そのままにしておくと、ボウフラが発生したり、雑菌が繁殖したり、臭いの原因になることがあります。

夏場に水やりをする際は、蛇口をひねってぬるい水が出てからにするか、ホース内に残った熱くなった水を先に出し切ってから使用してください。水が熱すぎると樹が傷んでしまいます。

まとめ


「水やり三年」という言葉があるように、盆栽の水やりは一人前の技術として認められるまでに相応の年月がかかると言われています。Wick Canvasでも、水やりの奥深さを大切にしています。

土の表面だけでなく、鉢の中の水の状態を把握できるようになるには経験を積むしかありません。加減を身につけるには、毎日盆栽と向き合い、丁寧に観察することが何より大切です。

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