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季節ごとの盆栽管理

春夏秋冬、季節に合わせた管理でベストな状態を保つ
Wick Canvas 編集部
  • 更新日:2022/8/25
  • 投稿日:2022/8/25
  1. 育て方
  2. 基本の管理
  3. 初心者向け
  4. Wick Canvas 編集部
季節ごとの盆栽管理 盆栽は四季の移ろいとともに生きる植物です。季節ごとに育て方や管理方法が変わるため、環境に合わせたケアが欠かせません。Wick Canvasでは、季節に応じた盆栽の管理方法をわかりやすく解説します。適切な管理を続けることで、盆栽はその季節ならではの輝きを放ちます。

目次

  • 章 季節ごとの管理
  • 章 春・秋
  • 章 夏
    節 1.遮光
    節 2.夏に弱い盆栽樹種
  • 章 冬
    節 1.寒冷紗
    節 2.冬に弱い盆栽樹種
  • 章 こんなときは?
  • まとめ

季節ごとの管理

盆栽の管理は、春夏秋冬の気候に合わせて変わります。特に注意が必要なのは、夏と冬の時期です。

人が季節ごとに快適な住まいを整えるように、盆栽も季節に応じた生育環境を整えてあげることが大切です。

春の新芽や花、夏の青葉、秋の紅葉、冬の寒樹と、季節ごとに異なる盆栽の表情を楽しめます。季節に合った管理を実践することで、樹への愛着が深まり、長く盆栽を楽しめるでしょう。

春・秋

過ごしやすい春や秋は、日照・気温ともに比較的安定しており、植物にとっても好条件の季節です。日当たりがよく、風通しの良い場所に置きましょう。

夏

盆栽は鉢が小さく土の量も少ないため、こまめな水やりが必要です。梅雨の頃から土の乾燥を頻繁に確認し、夏の水切れに備えましょう。

夏の強い日差しを受けすぎると、暑さに弱い樹種は夏バテを起こします。特に葉物・花物・実物の樹は葉が傷んだり焼けたりしやすいので注意が必要です。

高山性の植物など高温に弱い樹種は、夏の日差しからしっかり保護しましょう。暑さに強い樹でも、小さな鉢は熱がこもりやすいため、強い直射日光は避けるようにします。

直射日光が当たる時間帯は、庭木の陰や軒下など自然な日陰に盆栽を移動させましょう。

自然な日陰が作りにくい場合は、遮光ネット・寒冷紗・すだれ・よしずなどを活用して半日陰の環境を整えます。

遮光の方法一覧

遮光ネット

材質:ポリエチレン製
遮光率:40〜80%程度
色:白・黒・銀など

・主に農業用途で使用される
・風通しがよく、風に煽られにくい

寒冷紗

材質:麻・綿・ポリプロピレン
遮光率:20〜50%程度
色:白・黒・グレーなど

・防寒・防風・防虫に使用。風通しはやや劣る
・カットして使用できる

防風ネット

材質:ポリエチレン
遮光率:10〜40%程度
色:青・緑・黒・グレー・銀など

・5〜6月頃までの日差し程度に対応
・カットして使用できる

すだれ

材質:細割りの竹・葦、最近ではポリプロピレン製も
遮光率:50〜80%程度
色:ポリプロピレン製は水色・緑など色のバリエーションが豊富

・基本は吊るして使用する

よしず

材質:葦、最近ではポリプロピレン・合成樹脂製のものも
遮光率:50〜70%程度
色:ポリプロピレン・合成樹脂製は緑・銀など

・基本は立てかけて使用する
・すだれよりサイズが大きい

遮光の方法

特に7〜9月の直射日光は非常に強いため、正午〜午後3時頃の日光を遮るようにしましょう。西日にも注意が必要です。温暖化の影響で5月頃から日差しが強まる地域もあるため、天候や地域に応じて対策の時期を判断してください。

周囲に打ち水をして温度を下げる方法も有効です。鉢の数が少ない場合や移動が苦にならない場合は、日中に鉢ごと日陰へ移すのもよいでしょう。

鉢と鉢の間隔を十分に空けて風通しを確保しましょう。真夏に熱くなったコンクリートや石の上に直接置くことはトラブルの原因になるため避けてください。

夏に弱い盆栽樹種

樹種によっては、高温や強い日差しに特に弱いものがあります。葉焼けしやすい葉物類や、寒冷地・高地に自生する植物は、暑さ・日差し対策を怠ると美観を損ねたり、夏の間に枯れてしまうことがあります。

夏に弱い盆栽樹種一覧

松柏類

イチイ、エゾマツ、カラマツ、コメツガ、ゴヨウマツ

葉物類 

イチョウ、カエデ、ケヤキ、ソロ、ツタ、ハゼノキ、ヒメシャラ、ブナ、モミジ

花物類 

桜、シャクナゲ、夏椿

実物類 

アケビ、カイドウ

草物類 

シダ類、山野草の一部

暑さや日差しに強い樹種でも、鉢が小さい場合は夏のトラブルが起きやすくなります。針金かけや植え替えなど、樹に負担をかける処置の直後も同様にご注意ください。

樹名 暑さ 乾燥 ひなた管理 半日陰 日陰の盆栽 夏期水やり 備考
アカマツ 強い 強い 可 2回
イチイ やや弱い やや弱い 可 2?3回
カラマツ 弱い やや弱い 可 2?3回
エゾマツ 強い 弱い 可 3回
コメツガ やや弱い 弱い 可 2回
ゴヨウマツ 強い 強い 可 2回 西日に注意
シンパク 特に強い 特に強い 可 2?3回 湿度に注意
スギ やや弱い やや弱い 可 可 2回
ヒノキ 強い 特に強い 可 可 2回
ニシキマツ 特に強い やや弱い 可 1?2回 水切れ注意
イチョウ やや弱い やや弱い 可 2?3回 水切れ・葉焼け注意
カエデ やや弱い やや弱い 可 2?3回 湿度・葉焼けに注意
クワ 強い やや弱い 可 2?3回 水切れ注意 
ケヤキ 強い やや弱い 可 2?3回 湿度に注意
ソロ 強い やや弱い 可 2?3回 水切れ注意
ヒメシャラ やや弱い やや弱い 可 2?3回 風通し・葉焼け注意
ハゼノキ やや弱い 可 2?3回 水切れ注意
ブナ やや弱い 可 2?3回 水切れ・葉焼け注意
モミジ やや弱い 可 2?3回 湿度・葉焼けに注意 
ウメ 可 可 2回 水切れ注意 
ハナカイドウ 可 可 2?3回
サクラ 可 可 2?3回 葉焼け注意
サツキ 強い 強い 可 可 2?3回 西日に注意
サルスベリ 強い 強い 可 2?3回
フジ 弱い 可 2?3回
ボケ 特に強い 弱い 2?3回
アケビ 可 可 2?3回
ウメモドキ 可 2回 西日に注意
カリン 強い 可 可 2回
キンズ 特に強い 可 2回
ヒメリンゴ 可 2回 西日に注意
ピラカンサ 特に強い 強い 可 2回
ベニシタン 特に強い 可 2回

夏の置き方 例

夏に弱い樹種や葉焼けしやすい樹種は、すだれやよしずなどで半日陰の環境を作りましょう。

→その際、日光や熱がどの方向から来るかをしっかり見極めることが重要です。

風通しを確保するため、遮光資材から盆栽を少し離し、鉢と鉢の間隔も適度に取りましょう。
 

冬

植物は季節によって活発に活動したり休眠したりします。冬の休眠中は気温の低下よりも、強い北風や霜からの保護が重要です。

冷たい北風にさらされると蒸散が激しくなり、枝枯れを引き起こすことがあります。

冬の寒風を防ぐには、風が来る方向によしずや板などで防御壁を設けます。霜が降りそうな夜は、縁の下・軒下・棚下などに事前に移動させておきましょう。

室内に移す場合は、暖房の効いた部屋は乾燥が激しく樹が傷むため、玄関や廊下など暖房のない場所に置くようにします。

寒さに弱い樹種を育てる場合や、大雪・氷点下が続く地域では、盆栽を保護するムロ(保護室)を設けることをおすすめします。

ムロに入れる際は、温暖な気候を好む樹種以外は、樹に季節感を感じさせるため2〜3回霜に当ててから移します。特別に寒い日以外は、日中はムロを開放して外気温に近い状態を保ちます。

芽が膨らみ始めたらムロから取り出し、軒下などでしばらく外気に慣らします。芽が伸びてから取り出すと寒さへの抵抗力がなく、芽を傷めたり芽止まりを起こすことがあります。

厳しい寒さが数日続く場合の保護には、市販の発泡スチロール箱が便利です。保温性に優れており、外気が氷点下になっても中の植物へのダメージを軽減できます。

温室やサンルームがある場合は、日光を好む樹を窓辺に、乾燥に弱い樹を奥に配置します。ホームセンターや園芸店で購入できる簡易ビニール温室は3,000円程度から販売されています。

カラーボックスや靴箱などにビニールをかけるだけで、簡易ビニールハウスを手軽に作ることもできます。

冬に弱い盆栽樹種について

一般的に針葉樹が最も寒さに強く、次いで落葉樹、常緑樹の順です。柑橘類など温暖性の樹種は寒さに弱いため、しっかりとした保護対策が必要です。

冬に弱い盆栽樹種一覧(内容の確認・追記をお願いします)

葉物類

イチョウ、ガジュマル、クスノキ

花物類 

サザンカ、サルスベリ、ブーゲンビリア

実物類 

アケビ、ウメモドキ、キンカン、キンズ、ザクロ、ミカン

盆栽を冬に育てる際の注意点

北風・乾燥・凍結・積雪

⇒縁の下・軒下・棚下などへ移動する

⇒室内の暖房のない場所へ移動する

⇒ムロ(保護室)を活用する

★ムロとは

盆栽を冬の寒気・寒風・乾燥・積雪・凍結などから守るための保護設備

◆ムロの理想的な温度・湿度

温度 3〜7℃ 湿度 40〜60%

⇒ムロの開閉で温度・湿度を適宜調整する

ムロに入れる前に

寒さに当てる

・樹に冬の訪れを感じさせるため、2〜3回霜に当ててからムロに入れましょう。

早い段階でムロに入れてしまうと、樹の調子が乱れ、自然への適応力が低下することがあるため注意が必要です。

清掃をする

ムロ内は病害虫が発生しやすいため、苔を取り除いたり、小さなブラシ(歯ブラシでも可)で幹・枝・根元の汚れを丁寧に落としておきましょう。消毒をしない場合でも、しっかりと清掃するだけで効果があります。

消毒をする

樹の休眠期である冬は、強めの薬剤を使っても薬害が出にくいため、この時期の消毒が一般的です。石灰硫黄合剤は浸透性があり被膜を形成するため、樹皮に産み付けられた害虫の卵の駆除に効果的です。

石灰硫黄合剤を30〜80倍に希釈して霧吹きで散布するか、10〜20倍に希釈した液に逆さにした盆栽の鉢上部分を浸します。

散布後は風通しの良い場所でしっかり乾燥させましょう。浸漬した場合は薬剤が鉢に垂れないよう注意してください。散布後1〜2週間ほど外に置いてからムロに収納します。

石灰硫黄合剤は強アルカリ性のため、取り扱いには十分な注意が必要です。以下の注意点をご確認ください。
↓↓↓

(注意点)

使用時はマスク・ゴーグル・ゴム手袋を必ず着用してください。

皮膚に付着した場合や目に入った場合は、直ちに水で十分に洗い流してください。目に入った場合はすぐに眼科を受診してください。

強い臭いがあるため、散布する時間帯と場所に十分配慮してください。

薬害を防ぐため、対象植物を確認し、希釈倍率を正しく守って使用してください。

石灰硫黄合剤の使用に不安がある方は、専門店や園芸店のスタッフに相談の上、農薬スプレーをご利用ください。化学薬品をなるべく避けたい方には、木酢液やニームオイルの希釈液も代用として使えます。希釈倍率は樹種や状態によって異なるため、販売店や説明書でよく確認してからご使用ください。
                  
霜が降りてから消毒を行う

しばらく寒さに当て、樹が冬を感じたらムロに入れる

■ムロの種類・活用方法

市販のビニール温室を活用する

発泡スチロールによる保護

蓋付きの発泡スチロールをホームセンターなどで入手します。魚屋やスーパーでもらえる場合もあります。クーラーボックスを流用する場合は、事前によく洗っておいてください。

発泡スチロールを使用する場合は、日中は蓋を開けて日光に当て、霜や寒気から守るために夜は蓋を閉めておきます。

簡易ビニールハウスの作り方 

本棚やカラーボックスなどに鉢を入れ、やや厚手のビニールをかけます。日中は前面のビニールを外して日当たりと通風を確保し、夜はビニールを下ろしてレンガなどで重石をします。

1. 市販のカラーボックスを用意する


    

収納ケースやコンテナなどを代用することもできます

市販の収納ボックス、衣装ケース、農業用コンテナなどに盆栽を入れ、日中は蓋を開けておき、冷え込んできたら蓋を閉めて保温します。引き出し式のものは引き出しを開閉し、蓋のないものは寒さが厳しい日にビニールシートを上から被せるなどして、冷気から盆栽を守りましょう。

水やりをそのまま行う場合は、発泡スチロール容器と同様に底面に排水穴を開けるか、水切り用のトレーや網かごを敷いて使うと管理がしやすくなります。

ムロ出し

冬の保護管理、とりわけ室内で越冬させた盆栽は、3月中旬ごろから日中に屋外へ出し、夜は室内へ取り込む作業を繰り返します。蓋付き容器に入れていた盆栽も、外に出したり覆いを開けたままにしたりして風を通し、寒さに少しずつ慣らしていきましょう。

温暖な地域では2月下旬ごろから順化を始めることも可能ですが、寒冷地では積雪の恐れもあるため、3月下旬以降に慣らし始めるのが安全です。

急激な温度変化は樹に大きな負担をかけ、新芽が霜で傷んだり落ちたりする原因になります。天候と樹の状態をよく観察しながら、外気にさらす時間を少しずつ延ばして調整してください。

4月初旬から中旬ごろには、ムロから完全に出して屋外管理へ移行します。山野の木々が一斉に芽吹くこの季節、盆栽の芽もいきいきと伸び始めますので、通常の屋外管理に切り替えましょう。

ムロ出しのタイミングは非常に重要です。早すぎると寒さで樹が傷み、遅すぎると蒸れて弱ってしまいますので、時期の見極めには十分注意してください。

寒さが和らぎ始める春の訪れの直前、植物の芽がふくらむ少し前を目安に、ムロから盆栽を取り出しましょう。

!!!ムロに長く入れすぎると過保護な状態が続き、樹の生育に悪影響が出ます。適切なタイミングでの取り出しを心がけてください!!!

こんなときは?

台風や嵐が来ているとき

室内に取り込む場合は、窓際や縁側など日当たりのよい場所に置きましょう。屋外に置いたままにする場合は、鉢が倒れたり落下したりしないよう、針金やひもで固定する、風よけを設置する、箱に入れる(蓋をする際は重石を忘れずに)などの対策を講じてください。

雪が降っているとき

冬に屋外管理やムロの蓋を開けて外気にさらしている場合、少量の積雪は許容範囲ですが、大雪は樹を傷める恐れがあるため置き場所に注意してください。雪が降っていても日差しがあり風のない日には、積極的に日光に当てましょう。保護スペース内に雪を入れて湿度管理に活用する方法もあります。

まとめ

盆栽は購入後の管理が何より大切です。日本各地で春の訪れの時期、積雪の有無、日本海側・太平洋側の気候特性など、地域によって暑さ対策・遮光・寒気対策の方法は異なります。地元の盆栽園や専門店に気軽にご相談いただくと、新たな発見があり、盆栽管理がより一層楽しくなるでしょう。

月ごとの詳しい管理方法は、盆栽基本の育て方・毎月の作業ページをご参照ください。

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